貸主都合の立ち退きで負担すべき引っ越し費用を解説

立ち退きの引っ越し費用 貸主都合で立ち退きを求める場合、負担範囲を解説

大家(貸主)都合で立ち退きを求められた場合、借主には引っ越し費用や新居の初期費用などの負担が生じます。こうした負担を補う趣旨で、立ち退き料が支払われるケースは少なくありません。ただし、立ち退き料には一律の法定額があるわけではなく、個別事情や判例傾向も踏まえた交渉によって金額が変わる可能性があります。本記事では、立ち退き時にかかる引っ越し費用の内訳、貸主が負担すべき範囲について解説します。

目次

立ち退きにおいて必要な引っ越し費用

立ち退きで真っ先に必要になるのが、新居への引っ越し費用です。どのような内容が費用として発生するか整理しましょう。

敷金・礼金・仲介手数料など、新居で必要な初期費用

立ち退きが決まると、気になるのは新たに住む場所の契約費用です。新居の契約時には、敷金や礼金、仲介手数料、火災保険料、保証料などの初期費用が必要です。一般的に敷金は家賃の1〜2か月分、礼金は物件によって1〜2か月分が目安とされ、仲介手数料は家賃1か月分程度が相場です。

これらを合計すると、家賃数か月分に相当する金額が発生し、引っ越し費用全体で最も大きな割合を占めることがあります。特に都市部においては家賃が高額になるため、まとまった資金が必要です。

立ち退き交渉の中で、こうした初期費用をどこまで補填してもらえるかは大事なポイントとなります。事前に相場感を理解し、物件の条件を確認しながら進めましょう。

荷物の運搬・引っ越しにかかる費用

引っ越し費用は、家族構成、荷物の量、引っ越し先までの距離、作業の時期によって変動します。繁忙期となる春や夏の時期は料金が高くなる傾向にあり、オフシーズンを狙うと費用を抑えやすいです。

また、荷造りや荷解きなどのオプションサービスを利用するかどうかでも料金は変わります。時間を優先して業者に任せるか、コストを優先して自分たちで荷造りをするかによって支出額に差が出る点にも注意が必要です。

複数の業者に相見積もりを取って比較するのも大切で、費用を抑えたい人は意識的にスケジュールやサービス内容を調整して最適なプランを選ぶようにしましょう。

家財処分やクリーニング代などの費用

退去にあたって、不要になった家具・家電の処分費が発生する場合があります。粗大ごみは自治体回収と民間業者で費用が異なるため、事前に確認をしておきましょう。エアコンの取り外し・設置費用や、電話・インターネットの設備契約費用などの実費も含まれます。

また、退去時には原状回復義務があるため、クリーニング代が敷金から差し引かれる場合があります。物件ごとに掃除の規定や費用の負担範囲が異なるため、契約書を読み返しておくと安心です。

意外と見落とされがちですが、段ボールや梱包資材にかかる費用もトータルでは無視できないことがあります。細かな出費が積み重なると大きな金額となるため、計画的に準備を進めましょう。

立ち退き料の基礎知識と法律上の位置づけ

立ち退き時に支払われる可能性のある立ち退き料ですが、法律で細かく規定されているわけではありません。どのような場合に必要なのか解説します。

立ち退き料が必要とされる正当事由

借地借家法においては、貸主がアパート・マンションなどの賃貸物件を立ち退かせるには正当事由が求められます。立ち退き料は、正当事由を補うために支払われることが多いです。貸主にとっては、金銭を提供することでトラブルを回避する狙いがあります。もっとも、法的に明確な基準が定められているわけではなく、実際には双方の交渉や過去の判例を参考にしながら金額を決定します。

正当事由には建物の老朽化や貸主自身や家族の居住・事業目的といった理由が挙げられます。正当事由が不十分な場合でも、立ち退き料を支払うことで補完的に退去を進める方法を取るケースもあります。移転費用や損失の一部を補償することで、スムーズに退去手続きを進めようとするのがねらいです。

立ち退き料の支払いが慣例化している背景

立ち退き料そのものは、借地借家法に具体的な金額が定められているわけではありません。しかし、実際には裁判例や過去の慣行を土台とした交渉で金額が決まることが多く、結果として支払われることが一般的です。

立ち退き交渉はトラブルが生じやすく、裁判に発展するケースもあるため、当事者同士の話し合いで互いが納得できるラインを探ることが大切です。居住の継続は借主にとっての大きな利益であり、それを放棄してもらう対価として立ち退き料を支払うという意味合いが根付いています

貸主の負担が求められる引っ越し費用の範囲

貸主都合で立ち退きを求める際、負担すべき引っ越し費用の範囲は、荷物の運搬費だけではありません。借主が転居によって被る経済的損失の補填全般を指すのが一般的にです

具体的には、以下の項目が負担の範囲に含まれる可能性があります。

引越し業者への実費

引越し業者への依頼料(梱包・家財運搬)、家財の運搬にかかる保険料、不用品の処分費用などです。

新居の契約にかかる初期費用

借主が次の物件を借りるために必要な仲介手数料、礼金、火災保険料、保証料なども補填の対象となります。なお、敷金については退去時に返還される性質のものです。原則として費用には含まれませんが、新居の敷金との差額を不足分として考慮する場合もあります。

家賃の差額補填

現在の家賃よりも新居の家賃が高くなる場合、その差額(一般に1〜3年分)を補償することが通例です。

引っ越しに付随する諸費用

エアコンの取り外し・設置費用や、電話・インターネットの設備契約費用などの実費も含まれます。

対象が店舗や事務所の場合はさらに範囲が広がり、高額な什器やOA機器、特殊設備の運搬費(30万円〜150万円程度)や、移転先での内装・設備工事費(坪単価10万円〜)なども負担すべき範囲として検討されます。

最終的な金額は、これらの項目を積み上げた合計額に、急な立ち退きに対する迷惑料(慰謝料)を加味して決定されることが多いです、居住用物件では家賃の6か月〜12か月分程度が実務上の目安となります。

引っ越し費用を抑えるための工夫・支援制度

立ち退き後の生活を安定させるためにも、引っ越しにかかるコストは可能な限り抑えたいところです。特に、家賃が高いエリアへ移動する場合は初期費用だけで相当な額が必要となるため、少しでもできる対策を講じると良いでしょう。公共機関や自治体が提供している補助金や支援制度を活用することで、金銭的な負担を軽減できる可能性があります。

自治体の補助金や支援サービスの活用

自治体によっては、住宅確保給付金や転居費用の一部が補助される制度が存在します。こうした支援策は低所得者層だけでなく、事情に応じて利用できる場合もあるため、居住地の役所やホームページをチェックしてみましょう。

給付金や補助制度には申請時期や所得制限などの要件があるため、手続きには余裕を持って臨むことが重要です。

費用相見積もり・不用品処分によるコスト削減

引っ越し業者は複数社に見積もりを依頼して比較するのが基本です。時期や荷物量、サービス内容を細かく伝えると正確な見積もりが出やすくなります。

不要品の処分は費用削減の大きなポイントとなります。特に大型家具を処分するだけでもトラック1台分のスペースに差が出るため、運搬費が少なくなる効果が期待できます。

立ち退き交渉から退去・費用精算までの流れ

実際に立ち退き交渉を進める際は、どのようなプロセスを経るのか理解することが大切です。貸主からの立ち退きに関する事前通知、交渉、合意、費用の支払いタイミングについての流れは以下のとおりです。

事前通知と正当事由の説明

貸主が立ち退きを求める場合、書面や口頭で理由を伝えるのが通常です。建物の改修や家主自身の居住など、正当事由にあたるかどうかをまず借主側は確認しましょう。

正当事由が不明瞭な場合や契約内容との矛盾がある場合には、早期の段階で疑問点を解消し、困ったら弁護士に相談して理性的に交渉を進めます。

立ち退き料・引っ越し費用の交渉

立ち退き交渉では、借主が現在負っている賃料や生活事情、引っ越しで発生する負担を示しながら費用を提示すると具体性が増します。家賃差額をいつまで補償してもらうのかといった細部を話し合うことも大切です。

相手方の事情も考慮しつつ、お互いが妥協点を探る形で合意を得ると、トラブルを最小限に抑えられます。

支払いタイミング・合意書の作成と注意点

立ち退き料や引っ越し費用の支払い時期は、実際の退去時期と密接に関わります。退去の直前や退去後すぐに支払うケースなど、さまざまなパターンがあるため、当事者同士で明確にしておきましょう。

合意書には、支払金額・支払い期限・支払い方法などを細かく記載します。また、退去後に追加請求が起きないよう注意しながら、合意書を弁護士にチェックしてもらうことも有効です。

まとめ

立ち退き時の引っ越し費用と立ち退き料は、正当事由や契約条件に左右されます。費用負担を軽減しつつトラブルを回避するために、事前に準備と情報収集を行いましょう。

立ち退きにあたっては、引っ越し費用と立ち退き料の両面をしっかりと見極めることが大切です。物件の状態や契約内容、地域の相場などによって補償額は変動するため、自分の場合はいくら必要になるのかを見積もっておきましょう。

結果的に費用負担が増してしまわないよう、引っ越し時には相見積もりや自治体の支援制度などを組み合わせて活用しましょう。事前準備を万全にしておけば、スムーズな退去の実現につながります。

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