空き家を負の財産にしないために!リスクを回避する空き家対策を解説

空き家を負の財産にしないために! リスク回避の方法とは?

誰も住んでいない実家などの空き家を適切に管理しなければ、さまざまな問題が生じます。2023年に改正空家法が施行されたことにより、空き家の放置は資産価値の低下だけでなく、予期せぬ巨額の出費を招く可能性があります。
この記事では、空き家対策を怠った場合に生じるリスクと空き家が負の財産にならないように具体的な対策方法について解説します。

目次

空き家対策を怠った場合に生じるリスクは?

空き家対策を怠った場合、特定空き家・管理不全空き家に指定されるリスク固定資産税優遇解除のリスクが生じます。それぞれ具体的に解説します。

特定空き家・管理不全空き家に指定されるリスク

空き家対策を怠った場合、空き家等対策特別措置法(以下、空き家特措法)により、特定空き家・管理不全空き家に指定されるリスクがあります。空き家特措法では、周囲に著しい悪影響を及ぼす物件を特定空き家に指定します。特定空き家に指定される要因は、建物の倒壊リスク、衛生上有害である状態、景観の著しい悪化などが挙げられます。
さらに2023年6月に改正空き家特措法が成立し、特定空き家の手前で行政が介入できる管理不全空き家が新設されました。
管理不全空き家は、現時点では特定空き家のように倒壊の危険や衛生上有害な状態には至っていないものの、放置を続ければ特定空き家になるおそれがある物件を指します。管理不全空き家の新設により、特定空き家になるのを防止し早い段階から市区町村による指導や勧告が行えるようになりました。
空き家特措法に基づく行政手続きの流れは、助言、指導、勧告、命令、そして最終的に行政代執行となります。所有者が特に警戒すべきステップが勧告です。特定空き家または管理不全空き家として行政から勧告が出された場合、後述する固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が増大するからです。
改正空き家特措法では、緊急的に解体などが必要な特定空き家に対して台風や地震などの自然災害による危険が迫っているときは、命令等の手続きを経ずに行政による強制撤去(代執行)が可能になりました。これは、行政が迅速に安全を確保できるようになった一方で、所有者にとっては、手続きを経る交渉の余地なく強制的に資産が処分されるリスクが増すことを意味します。
行政代執行が行われた場合、解体費用は、公的な手続きとして一時的に行政が負担しますが、最終的には所有者に対して請求されます。改正法により迅速な安全確保が優先されるようになったため、所有者はこの費用負担から逃れることは困難です。

固定資産税優遇解除のリスク

空き家対策を怠り特定空き家または管理不全空き家として行政から勧告が出された場合、固定資産税優遇解除のリスクがあります。
特例が解除された場合、土地の固定資産税は最大で6倍に増加する可能性があります。従来の制度ではこのペナルティーは特定空き家のみを対象としていましたが、改正法により管理不全空き家が勧告の対象になりました。所有者は管理不全で勧告を受ける前に、自主的な対策(管理改善、活用、処分)を講じることが強く求められます。
ここまでに述べてきたことを表にまとめましたので、参考にしてください。

法的根拠 行政措置 固定資産税(土地)
優遇措置
税額増のリスク
管理不全空き家 改正空き家特措法 指導・勧告 勧告後は優遇解除
(特例適用外)
最大6倍
特定空き家 空き家特措法 勧告・命令・代執行 勧告後は優遇解除
(特例適用外)
最大6倍

空き家を負の財産にしないための対策は?

空き家を負の財産にしないためには、検討すべき4つの対策方法がありますので解説します。

早めに空き家を売却する

相続などで空き家を手に入れたものの、将来住む予定がないなら早めの売却を検討しましょう。相続で取得した空き家を売却する場合、税負担を大幅に軽減できる特例措置の活用ができるからです。この特例措置は、相続した空き家を売却して譲渡所得(売却益)が発生した場合、その所得から最大3,000万円を控除できる制度です。ただし、特例を適用するためには、以下の要件をすべて満たさなければいけません。

  • 相続開始直前まで被相続人が一人で居住していた家屋であること。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準)であること。
  • 区分所有建物(マンション等)でないこと。
  • 相続開始日から3年を経過する日の年末までに売却すること。
  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 譲渡時に家屋が一定の耐震基準に適合しているか、または取り壊して更地にして売却すること。

厳しい条件がそろっていますが、中でも売却代金(譲渡対価)が1億円以下との条件には細心の注意を払わなければいけません。1億円の判定基準には、単なる不動産の売却価格だけでなく、買主が負担する空き家の解体費用も含まれるからです。
例えば、空き家を9,800万円で売却する契約を結び、買主が解体費用として500万円を負担した場合、合計額は1億300万円となります。この合計額が1億円を超過するため、3,000万円特別控除の適用要件から外れます

空き家を適切に管理する

空き家を売却しないなら、適切に管理をしましょう。適切な管理をせずに放置し倒壊の危険性や衛生上の問題が起きたら、行政から管理不全空家や特定空き家に指定される可能性があるからです。
管理不全空家に指定される要因は、建物の劣化、敷地内の雑草の繁殖、異臭やゴミの不法投棄による衛生上の問題などです。遠方に住んでいたり、多忙で定期的な管理ができなかったりする場合、空き家管理サービスを利用したほうがよいです。
空き家管理サービスは、一般的に月1回から2回程度の頻度で空き家を訪問します。サービス内容は、建物内外の巡回、換気、通水、簡易清掃、郵便物の確認などです。空き家管理サービスにかかる基本料金は、訪問頻度やサービス内容にもよりますが、月額4,000円から9,000円程度が相場です。

空き家を利用して収益を図る

空き家を収益物件として活用するのも選択肢の一つです。空き家をリフォームし賃貸物件として市場に出す方法があります。そこで注意しなければならないのが、将来的に売却の可能性があるケースです。
例えば、所有者自身が将来利用する可能性がある場合、通常の賃貸借契約を結ぶと借家人保護の観点から容易に立ち退きを求められなくなります。そこで有効なのが、定期借家契約のです。定期借家契約であれば、契約期間の満了をもって確実に契約が終了します。将来的な売却や自身の帰住の可能性を残しつつ、一定期間の賃料収入を得られます。

高齢になった場合に生じるリスクに対応する

高齢になった場合に生じるリスクに対応するのも重要です。所有者自身が高齢化し、認知症などによって管理能力を喪失する可能性があります。それによって不動産の売却や賃貸契約、大規模な修繕などが不可能となり、空き家が管理不全状態に陥るリスクが高まります。このリスクを回避する方法の一つに信託制度があります。不動産を信託財産として受託者(信託会社や法人等)に所有権を移転し、管理・運用・処分を委託します。そうすると所有者(委託者)が認知症などで意思能力を喪失しても、あらかじめ定めた信託契約の目的に従って、財産の管理や収益化が継続されます。所有者自身が自己管理できなくなった場合でも、不動産が長期的な管理不全状態に陥るのを未然に防げます

まとめ

本記事では、空き家を所有するにあたって、リスクを回避するための4つの対策方法を解説しました。空き家の管理は、単なる掃除や修繕だけはありません。行政から勧告を受けることがないように適切な管理体制を構築しましょう。
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