立ち退きトラブルを解説!賃借人が押さえるべきポイントは?

立ち退きトラブルを解説 賃借人が押さえるべきポイントは?

立ち退きは、物件を貸している側(賃貸人)と借りている側(賃借人)の双方にトラブルを抱える可能性がある問題です。法的知識や契約内容の理解が不十分なまま話し合いを進めると、深刻な対立の原因になります。
この記事では、立ち退きがトラブルに発展するケース具体的な交渉方法等について解説します。これから立ち退き問題に直面するかもしれない方、あるいはすでに通知を受けて困っている方の一助になれば幸いです。

目次

立ち退きトラブルとは?

立ち退きトラブルとは、賃貸人が賃借人に対して建物の明け渡しを求める際に生じる紛争です。一般的に、立ち退きが求められるケースでは契約書上の解約条項や更新拒絶の手続きが問題となります。
普通借家の更新拒絶・解約申入れに際しては、借地借家法28条上の正当事由が必要で、建物の老朽化や当事者双方の事情に加え、立退料の申出等の経済的補償も総合考慮されます。賃借人側も家賃の支払い滞納や契約違反がないことを明確にしなければ、交渉の際に主張が通りにくくなる可能性があります。

立ち退きがトラブルに発展する理由は?

立ち退きがトラブルに発展する要因として、事前の説明不足やコミュニケーションの断絶が挙げられます。賃貸人から突然退去を求められたり、賃借人が話し合いを拒絶したりするとスムーズな解決が難しくなります。特に賃貸中に建物の状態が悪化したりリフォームが必要になったりした場合、互いの都合や予算感が合わないと対立が激しくなる可能性があります。
こうしたトラブルを回避するには、契約の内容を十分理解しておくこと、また初期段階で弁護士に相談することが大切です。適切な手順や紛争解決手段を知っておけば、感情的な対立を避け、比較的短期間での合意形成を目指せます。

立ち退きを求める際の注意点|ケース別に解説

立ち退きを求める際、借地借家法で定められた正当事由が必要です。契約形態や契約違反の有無によっては、立ち退きが認められる場合や認められにくい場合があるため、法的根拠を押さえておきましょう。

普通借家契約で立ち退きを求められた場合

普通借家契約の契約更新拒絶や解約の申し入れには、正当事由があるかどうかが争点になります。正当事由の有無を判断するには、建物の老朽化の程度や賃貸人・賃借人双方の財産状況、別の物件を用意できるかといった点が考慮されます。単なる賃貸人の経済事情のみでは足りず、補償(立退料等)の有無・程度も含めて総合的に判断されます。

定期借家契約で立ち退きを求められた場合

定期借家契約は契約終了時に再契約をしないため、賃貸人は将来的な建物の利用計画を立てやすいという特徴があります。しかし、契約時の説明義務を怠ると、賃借人が定期借家契約であることを十分に理解できていなかったと主張されかねません。その結果、契約終了後のトラブルや補償交渉が長引くおそれもあるため、事前の周知と書面交付が不可欠です。なお、居住用で床面積200㎡未満の定期借家では、賃借人にやむを得ない事情がある場合の中途解約が法定されています(賃貸人側の中途解約は原則不可)。

賃借人に契約違反がある場合

賃借人の契約違反に対して立ち退き請求を行う場合でも、適切な手続きが重要です。賃料滞納を理由とする明渡は、相当期間の催告を経て契約解除を通知し、明渡訴訟・強制執行等の法的手続により行います。家賃滞納が長期間続いている場合には、督促や支払交渉を記録として残してから退去請求を行うと、後々の法的手続きで有利になりやすくなります。明渡は判決等に基づく強制執行で行うべきであり、自力での退去強制は自力救済の禁止に反します。

立ち退きを求められたら最初に何をすべき?

立ち退き通知を受けた側は、動揺してしまうことが多いですが、焦って対応すると不利な条件を受け入れる可能性があります。立ち退きを求められた際に何をすべきか解説します。

契約内容と通知書をチェックする

賃貸借契約の内容と届いた通知書をチェックしましょう。
借家契約の種類や賃貸借契約の細かい条項が通知書と一致しているか、正当事由や立ち退き理由に合理性があるかを一つひとつ精査します。不備があった場合は、早めにその点を指摘し、文書でやり取りを行って証拠を残しましょう。

交渉の記録を取っておく

賃貸人との交渉の過程で、重要なやり取りは必ず書面やメールで残し、日付や相手方の発言内容をメモしておきましょう。主に電話でやり取りをしている場合は、やり取りの後に要点をまとめたメールを相手に送って記録を残すとよいでしょう。これらの記録は、裁判や調停になった場合、強い裏付けとなります。

感情的にならない

賃貸人とやり取りするにあたり、感情的にならないようにしましょう。立ち退きトラブルが長期化すると、当事者同士の対立感情が高まり解決が難しくなることがあります。そのようなときこそ、第三者の意見を取り入れたり、弁護士や不動産の専門家を交えて話し合ったりする冷静な対応が必要です。

立ち退き交渉はどのように進められる?

立ち退き交渉はどのように進められるか、流れを理解している方は少ないと思います。賃貸人と賃借人が直接話し合いを行う場合、どこまで条件を譲るか、あるいはどのように立ち退き料を算定するかなどの理解が必要です。立ち退き交渉が行われる際のポイントについて解説します。

立ち退き料の相場と交渉のポイント

立ち退き料の相場は地域や物件の種別、借主の引越し費用や営業補償をどのように見積もるかによって変動します。立退料に法定相場はなく、補償の必要性・程度は事案ごとに協議・判断されます(住居は引越費用等、店舗は営業補償を含め個別算定)。
店舗では、売上減や顧客離れ等の営業補償(法定相場はなく交渉上の補償)が問題となり、結果的に補償額が大きくなることがあります。

店舗・事業用物件における留意点

店舗や事業用物件の場合、単なる移転費用だけでなく、移転期間中の営業停止や新店舗で営業するにあたっての宣伝コストなども考慮が必要です。営業補償額の算定には、過去の売上実績や損益計算書、将来の収益見込みなどを整理しておくと、より合理的な主張が可能になります。

交渉が決裂した場合の対応は?

話し合いで折り合いがつかない場合、調停や訴訟に移行するのが通常の流れです。調停では裁判所が間に入り、両者に妥協点を探すよう促しますが、それでも解決に至らなければ訴訟となります。法的手続きは時間と費用がかかるため、双方がメリット・デメリットを見極めてから判断することが大切です。

双方で合意した場合にすべきことは?

双方で合意ができた場合、必ず合意事項は書面化しましょう。合意書には具体的な立ち退き料や支払い時期、物件の明け渡し期限などを明記し、双方が署名捺印を行うのが通例です。書面化によって合意内容を確認しやすくなるだけでなく、お互いに責任を明確にできる点もメリットです。言った、言わないのトラブルを避けるためにも合意事項の書面化は必須と考えたほうがよいでしょう。

賃借人側が立ち退きを求められた際に知っておくべきことは?

賃借人側が立ち退きを求められた際に知っておくべき知識を解説します。

立ち退きを拒否できる条件

普通借家契約では、賃貸人が提示する正当事由の内容に納得できない場合、立ち退きを拒否できます。例えば建物の老朽化を理由に立ち退きを求めてきた場合、早急に立て直しをする必要があるかどうか認められないケースでは、正当事由にならない場合があります。

立ち退き料を払ってくれない場合の対応策

話し合いで立ち退き料を提示されていても、実際に支払われないケースが問題となることがあります。その際は賃貸人宛に内容証明郵便で支払いを促し、それでも応じてくれない場合は調停や訴訟を視野に入れましょう。

家賃滞納など賃借人に契約違反がある場合の注意点

重大な契約違反がある場合は、正当事由ではなく解除に基づく明渡請求の枠組みとなります(信頼関係が破壊されていること等が必要)。契約違反を放置したままでは不利になりやすいため、まずは滞納金の完済や違反の解消に努めましょう。そのうえで正当事由の主張に根拠があるかを確認し、交渉に臨むとよいでしょう。

立ち退きトラブルを弁護士へ相談するメリットは?

立ち退きトラブルが起きた場合、弁護士へ相談するメリットはいくつかありますので、解説します。

法律の知識をもとにアドバイスができる

弁護士であれば、法律の知識をもとにアドバイスができます。
立ち退き問題では、賃借人に有利なルールや裁判例が多く存在します。弁護士は最新の判例や法解釈の動向を把握しているため、個別事案に即した的確なアドバイスが提供できます。素人判断で動いてしまうよりも、専門家の視点で根拠を示してもらえば安全に問題を進められます。

代理人として交渉・手続きができる

弁護士であれば、代理人として交渉・手続きができます。
弁護士が交渉の場に同席すれば、立ち退き料やスケジュールの話し合いなどがスムーズに展開しやすくなります。適正な法的主張に基づき交渉を円滑に進め、合意形成や手続対応を一貫してサポートできます。
弁護士であれば、書面の作成から裁判手続きまで一貫して対応ができるため、当事者が直接顔を合わせる場面を減らし、精神的に落ち着いて解決に向けて検討できます。

精神的負担の軽減と早期解決

弁護士に依頼すれば、相手との直接交渉が避けられ精神的負担が軽減されます。
立ち退き問題は、長引けば長引くほどお互いの不信感やストレスが増大します。弁護士に任せることで、煩雑な手続きや交渉を一括して引き受けてもらえます。これが結果的に早期解決へつながりやすくなります。

まとめ

立ち退きトラブルは、多くの時間や精神的負担を伴いやすい問題です。だからこそ、適切な準備や法律の理解が欠かせません。
賃貸人と賃借人の両者が、契約時から連絡や情報共有をしっかり行うことで、将来的な立ち退きトラブルを防ぎやすくなります。万一トラブルが発生した場合にも、契約書や証拠の整理、冷静な交渉が解決を早めるカギです。
正当事由の有無や立ち退き料の交渉など、専門的な知識が必要になる場面では、弁護士の力を借りることを検討しましょう。本記事を参考に、立ち退きに関する基本的なポイントを把握していただければ幸いです。

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