低髄液圧症候群

低髄液圧症候群って診断されたけど、どんな病気なの?

低髄液圧症候群は、起立性頭痛を主症状とする症候群であり、座位または立位で頭部が起立した状態になると頭部が増悪し、寝ると改善します。

この症状は、何らかの原因により、おもに頚椎ないし胸椎から脳脊髄液が漏出し、脳が下方に沈下して牽引性の頭痛が生じることにより起こります。

損害賠償においては、確立されていない傷病名ですので後遺障害の認定を得ることは困難ですが、9級や12級相当として、訴訟等により実質的な損害を算定し、後遺障害賠償を認めてもらうことを目指すというのが、現状です。

低髄液圧症候群の診断基準は、新しい病態であることもあり、現在でも、完全に確立されるまでには至っていないのが実情です。

低髄圧症候群罹患を論ずるにあたり、その変遷と現状を認識することは、非常に重要ですので、以下のように整理してみます。

公表年度 診断基準名 提案学会
2004 国際頭痛分類2版 国際頭痛学会
2007 ガイドライン2007 脳脊髄液減少症研究会
2007 日本脳神経外傷学会 日本脳神経外傷学会
2011 厚労省中間報告(日本脳神経外科学会、日本神経学会、日本整形学会、日本頭痛学会、日本脳神経外傷学会、日本脊髄外科学会、日本脊髄病学会、日本脊髄障害学会の承認を得て公表) 関連学会の代表を含む研究者で構成された厚労省研究班
2013 国際頭痛分類3版β 国際頭痛学会

各診断基準の位置づけとしては、厚労省中間報告は、各学会の代表研究者で構成された研究班により、学会間の垣根を取り払い、誰が見ても納得できる診療指針の作成が行われ、公表されたものです。

中間報告であるものの、関係学会の合意が行われた点に特徴があります。

ただし、中間報告であり、まだ研究が続けられているので、変更がなされる可能性を含んでいます。

一方、国際頭痛分類3版βは、2004年の2版の見直しであり、国際的レベルにおいて同じく症例を積上げ、研究成果を盛込み、医師間の意見調整がなされた結果のものです。

以上から、最新の診断基準としては、厚労省中間報告、国際頭痛分類3版βを中心として考えるのが妥当と思われます。

これらの診断基準に基づいて、起立性頭痛、RI脳槽シンチ、早期膀胱内RI集積、ブラッドパッチ等の治療結果及び検査結果をもとに傷病の認定を行うというのが、現在の認定方法とされています。

 

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