遺留分侵害額請求の裁判外での交渉がまとまらなかった場合には、裁判手続きを利用して遺留分侵害額請求を行うことになります。
1.調停の申立て
遺留分侵害額請求をする裁判手続には、遺留分侵害額請求調停と訴訟がありますが、遺留分に関する事件は調停前置主義がとられています。すなわち、訴訟を提起する前にまず調停を行わなければならないということです。したがって、原則としては、まず調停を申し立てることになります。
遺留分侵害額請求の調停は、遺留分の侵害額に相当する金銭の支払いを求める調停ですが、この調停を申し立てただけでは、遺留分侵害額請求権の行使とは認められず、別途、内容証明郵便の送付などにより、相手方に対して権利行使の意思を表示する必要がある点には注意が必要となります。
2.申立先
相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所となります。
3.手続の流れ
申立てが適法に受理されると、裁判所が第1回の期日を決定し、それを申立人と相手方に通知し、裁判所に出頭するように呼び出すことになります。
調停においては、通常、初めに全員に対して手続きの説明があり、その後、申立人は申立人控室に待機し、相手方は相手方控室に待機し、交互に調停室に入って調停委員にそれぞれ主張を行います。
調停の結果、相続人間で話し合いがまとまれば、裁判所書記官によって調停調書が作成されることになります。この調書は、確定判決と同一の効力を持っており、相手方が合意の内容を履行しない場合には強制執行をすることができます。