遺留分侵害額請求権を行使するための流れとなります。
1.調査
遺留分侵害額請求をするには、まず、遺留分の侵害があるのかを確認する必要があります。
(1)遺言の内容
まず、遺言書の内容を確認し、誰が遺留分を侵害しているのか、すなわち、誰にどの財産が遺贈されているのかを確認する必要があります。
(2)相続人の確定
遺留分の額を算定するに当たって、相続人を確定させる必要があります。
(3)相続財産の調査
遺留分の額を算定するに当たって、相続財産の調査をする必要があります。
なお、遺産の範囲に争いがある場合、相続人間の話し合いで遺産の範囲を確定させることが多いですが、遺産確認訴訟を提起することで遺産の範囲を確定させることもできます。
2.遺留分減殺請求権の行使
遺留分侵害額請求権の行使は必ずしも訴えによる必要はなく、相手方に対する意思表示をすることで請求権を行使することができます。
そのため、相手方と話し合いをして、交渉を成立させ、遺留分侵害額に相当する金銭を支払ってもらうこともできます。
3.通知の方法
遺留分侵害額請求権の行使として、相手方に対し意思表示をすることになります。この場合の通知方法としては、口頭でも可能ですが、配達証明付きの内容証明郵便で請求書を郵送しておくべきでしょう。
遺留分侵害額請求の意思表示は,相続開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈のあったことを知ったときから1年又は相続開始のときから10年を経過したときは,することができなくなります。そのため、請求権を行使した時点を明確にするため、配達証明付きの内容証明の郵送を行います。
4.裁判外での交渉
請求書を郵送後、相手方と交渉することになります。相手方との話し合いの中で、遺産の範囲、評価等に争いがあるなど、争いが生ずる可能性がある場合には、録音をしておきましょう。
5.合意書の取り交わし
交渉の結果、話し合いがまとまり、合意が成立した場合には、後日の紛争の防止のため、合意書を取り交わして、支払い約束について書面化しておきましょう。
可能であれば、公証役場で公正証書として作成すると、その後支払いがなされない場合に、すぐに強制執行をすることができますので、より実効性が確保されます。もっとも、公正証書にしない場合でも、後日訴訟等になった場合には、有力な証拠となりますので、必ず、書面には残しておきましょう。