不貞行為で内容証明が届いたら?対処法と無視してはいけない理由

  • 最終更新日: 2024.04.18

離婚の原因に多い不貞行為は、性的な関係を配偶者以外と持つことを意味します。
大変多くのご夫婦が配偶者の不貞行為に悩まされており、法律相談に来られる方も少なくありません。

そこで、自分の気持ちや夫婦関係に区切りをつけるためにも不貞行為の相手方に「内容証明」を送ることがあります。では、不貞行為を行い、内容証明が届いてしまった側には、どのように対処をすべきなのでしょうか。今回は「不倫をしていた方」向けの切り口で不貞行為の内容証明について解説します。

なぜ内容証明郵便が届いたの?

不貞行為は一般的な感覚で言い直すと不倫のことです。お手元に内容証明が届いた、ということは不貞関係(不倫)について、お相手の配偶者は事実を掴んでいる状態でしょう。

ある日突然内容証明郵便が届いた場合には、周到に不倫の証拠を積み重ねてから内容証明郵便を送ってきた可能性があります。

ラブホテルの出入りや音声、LINEをはじめとするメールアプリの履歴などを確固たる不貞行為の証拠を押さえられていることも多いので、まずは内容証明郵便にしっかりと向き合い、対処することから始めましょう。

内容証明郵便に法的な拘束力はない

日常生活の中で内容証明郵便を受け取ることはそんなに多くはないでしょう。しかし、法律事務所の立場で言うと、内容証明郵便はとてもポピュラーな存在です。未払いの代金を請求する、債権回収をする、など実務に必須のアイテムとして頻繁に使われています。

実は内容証明郵便には「法的拘束力」はありません。あくまでも郵便物に過ぎず、訴状など裁判所から発送されたものではないのです。では、法的拘束力はないにも関わらず、どうして配偶者は不貞行為の相手に対して内容証明郵便を送るのでしょうか。そこには3つの効果があります。

1.意思表示の効果

内容証明郵便には法的措置を匂わせる文面を使うことが多く、怒りや慰謝料請求の意思表示をする効果があります。

内容証明郵便を送ってきている以上、住所や勤務先など素性を調査している上、次の段階に向けた周到な用意を進めている可能性が高いのです。普通の手紙よりも内容証明郵便はインパクトも強く、プレッシャーを与えることができます。

2.時効中断の効果

不貞行為を知り、相手へ慰謝料を請求する際には事実を知った日から3年以内に行う必要があります。3年を超えると時効となるためです。しかし、時効には猶予期間をもたらす方法があります。相手方へ内容証明郵便などを送付して慰謝料の請求を通知したら、そこから6か月は時効の完成に猶予期間が設けられています。

慰謝料請求を訴訟で争う場合には時効に関しても踏まえておく必要があります。内容証明郵便はいつ、誰に送ったか郵便局にもしっかりと記録として残されるので訴訟時の証拠にするために送っている可能性も高いでしょう。

3.通知を受け取らせる効果

内容証明郵便をはじめとする郵便の一部は、受取人の印鑑を配達員が受領する必要があります。そのため受取人が不在の場合にはきちんと不在通知も残してくれます。不在通知が残されている郵便は受領する人も多いので、通知を受け取らせるための効果もあります。

また、内容証明は普通郵便と異なり郵便事故のリスクも極めて低く、配達証明を付ければ相手方が受け取ったかどうかもわかります。一方で、住所や氏名が異なっている、受取拒否の場合には返却されます。

内容証明郵便を受取拒否や無視したらどうなる?

内容証明郵便は受取を強制するものではありません。あくまでも郵便物の1つに過ぎず、受取拒否をすることも可能です。では、不貞行為に対して慰謝料請求を行う趣旨の内容証明を、受取拒否や無視をした場合にはどうなるでしょうか。

受取拒否をした場合

内容証明郵便が届いたけれど、受取拒否をした場合には通知人側へ返送されることになります。返送の際には「宛所不明」や「受取拒否」など受け取られなかった理由も明示されており、受取を拒否したということもはっきりと相手側へ伝わることになります。つまり、受け取ってはいなくても、通知を拒否したという事実は残されることになります。

受け取ったが無視をした場合

内容証明郵便を受け取った場合、文面には目を通されることでしょう。通知の受け取りも配達証明の記録が付いていれば、通知人側にしっかりとわかります。

不貞行為の相手方へ内容証明郵便を送る場合には、「〇月〇日までに〇〇〇万円をお振込みください」といった趣旨の文言が書かれていることが多く、この期日を無視してしまうと法的措置に移行する可能性を匂わせているはずです。受け取ったにも関わらず、無視をし続けていると訴訟に発展するリスクは高くなります。

受取拒否も無視も状況の悪化を招きやすい

不貞行為の事実に基づき内容証明を発送してきている以上、受け取りの拒否も無視も状況の改善にはつながりません。寧ろ悪化を招く可能性が高いでしょう。加えて、住まい宛に送った内相証明郵便が受取拒否や無視された場合には勤務先など別の場所に通知が行われる可能性もあります。

相手からの内容証明郵便には反応をきちんと返さないと、対抗手段に出てくることが多いのです。また、弁護士が代理人となって通知してきている場合には、さらに無視は禁物です。すぐに訴訟へ発展させる可能性があります。

しかし、繰り返しですが内容証明郵便自体には法的拘束力はありません。必要以上に怖がる必要はなく、求められる賠償額にすぐに応じる必要もありません。では、どのように対処をすると解決を目指せるでしょうか。

不貞行為で慰謝料を請求された場合の対処法

不貞行為が露見した以上、慰謝料の請求をゼロにすることは難しいでしょう。しかし、相手方が通知してきた内容証明郵便を一度きちんと整理してみることがおすすめです。

いつまでに対処を求めているのか、どの程度の金額を求めているのか、謝罪や不貞行為についてどのような方法での解決を求めているかなど、ポイントを絞って整理しましょう。例として、次のような場合には慰謝料を支払わなくても良い可能性があり、慌ててお金を支払うのは得策ではありません。

慰謝料を請求された場合の対応方法については、「不倫慰謝料請求されたら|慰謝料の請求額によって対応を変えるべき理由 」をご参照ください。

不貞行為とはみなされないケース

  • 相手が既婚者とは知らなかった
  • 相手がすでに別居しており、別居後に交際をスタートした
  • 友人関係に過ぎず、性交渉はない
  • 無理やり相手に性交渉を迫られた
  • 関係はあったが時効を迎えている

不貞行為における慰謝料の相場とは

内容証明郵便で不貞行為への慰謝料を請求する場合、通常は相場よりも高額に記載する傾向があります。

不貞行為の慰謝料の相場は、相手方の離婚の有無や不貞行為の回数・期間によっても変動します。離婚した場合は100万円~300万円、離婚しなければ数十万~100万程度が相場です。

慰謝料を減額できる余地がないか確認する

上記の相場を大幅に超える場合には交渉を行い、減額を求めるべきでしょう。しかし、上記の金額はあくまでも目安の1つです。例えば長年連れ添った夫婦が不貞行為を理由に離婚する場合は相場よりも高い慰謝料が訴訟で認められる可能性もあります。

一方で真摯に謝罪を行い、相手方が夫婦関係をやり直す場合には慰謝料は低く抑えられる可能性もあります。また、ご自身では判断が難しい場合は、弁護士に減額交渉を依頼するのも選択肢のひとつです。

慰謝料の減額を狙えるかどうかは、「不倫慰謝料の減額を狙えるケースと狙えないケース」をご参照ください。

不貞行為で内容証明郵便が届いたら弁護士に相談を

今回の記事では不貞行為に関する内容証明について、通知を受け取られた側からの切り口で解説しました。内容証明郵便への放置は厳禁なのですが、どのように対処すべきかわからないと相手の求めるままに高額の慰謝料を支払ってしまう可能性もあります。慰謝料には相場があり、交渉も可能です。一人で悩んでしまう前に、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

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