不倫(不貞行為)の慰謝料相場と過去の判例

  • 最終更新日: 2024.04.19

配偶者の不倫(不貞行為)は、法的な離婚原因としても認められており、慰謝料を請求できる可能性があります。しかし、いざ慰謝料を請求しようと思った時に、どのくらい金額を請求できるものなのでしょうか。

今回は不倫の慰謝料相場はどれくらいなのか、高額になるケースや請求方法まで交えて紹介していきます。相手の不倫が発覚し、慰謝料を請求したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

不倫の慰謝料相場は50~300万円

一般的に不倫(不貞行為)で請求できる慰謝料の相場は50万円〜300万円程度だと言われています。しかし、慰謝料の金額はケースバイケースで様々な要因によって上下します。基本的には「夫婦関係に与えた影響」が大きいほど慰謝料の金額も高くなります。

不貞行為の慰謝料相場
婚姻関係 慰謝料金額
離婚・別居に至った場合 100~300万円
離婚・別居に至らない場合 50~100万円

不貞行為で離婚・別居した場合の慰謝料相場

配偶者の不貞行為が原因で離婚・別居をする場合の慰謝料相場は100~300万円程度となります。離婚する場合は「不貞行為に対する慰謝料」の他に「離婚自体に対する慰謝料」も請求可能できるため、別居よりも離婚するケースの方が慰謝料の金額は高くなります。

しかし、夫婦が不倫前から別居しており、すでに夫婦関係が破綻していた場合などは慰謝料の請求が認められないケースもあります。

離婚・別居した場合の慰謝料ポイント
慰謝料が高くなるケース ・婚姻関係が長い
・不倫が原因で離婚に至った
・子供がいる
慰謝料が低くなるケース ・婚姻関係が短い
・離婚に至らない
・夫婦関係が元々悪かった

離婚慰謝料については、弊所離婚サイトの記事「離婚の慰謝料相場|年収との関係や請求できないケースとは」をご参照ください。

不貞行為で離婚しない場合の慰謝料相場

配偶者の不貞行為が発覚しても離婚しない場合、慰謝料の相場は50~100万円程度となります。離婚をするケースよりも「夫婦に与えた影響」は少ないため、離婚しないケースの方が慰謝料は基本的に低くなります。

離婚しない場合の慰謝料ポイント
・慰謝料請求は可能
・慰謝料は低くなる傾向

浮気相手だけに請求する場合の慰謝料相場

浮気相手だけに慰謝料を請求することも可能です。慰謝料の相場は上記の離婚するケース、離婚しないケースと同様です。浮気相手だけに請求するケースでは「離婚はしないけど浮気相手には責任を問いたい。」というケースが多いでしょうから、その場合の慰謝料相場は50~100万円程度です。

しかし、不貞行為は不倫をした配偶者と浮気相手の連帯責任(共同不法行為)であるため、双方に慰謝料の支払い義務があります。また、浮気相手だけに慰謝料を請求する場合は、求償権についても注意が必要です。

求償権とは、連帯債務や連帯保証をしているケースにおいて連帯債務者や連帯保証人が弁済をし、他の連帯債務者や主債務者の肩代わりをした場合に、これらの者に対して、自身が肩代わりした分の返還を求める権利です。

不倫の当事者の一方が慰謝料全額を支払った場合は、他方に対して、自分の責任を超えて支払った部分について金銭の支払を求められます。

例えば、浮気相手に100万円の慰謝料を請求した場合、本来その100万円は浮気相手と不倫をした配偶者二人で負担しなければなりません。浮気相手が100万円を全額負担するのは公平ではありません。ですので、浮気相手が全額支払った場合は、浮気相手から不倫をした配偶者に対して責任割合に応じた金額を請求できる権利があります。

浮気相手だけに請求する場合の慰謝料ポイント
・浮気相手だけに慰謝料を請求することは可能
・求償権を破棄してもらうことも可能

【関連記事】浮気相手だけに慰謝料請求する方法と慰謝料の相場

カップル(恋人)の場合の慰謝料相場

婚姻関係にないカップルの場合、基本的に慰謝料を請求することはできません。しかし、事実婚・婚約をしている恋人の場合、慰謝料を請求することが可能です。慰謝料の相場は、婚姻関係にある夫婦のよりも低くなるケースが多いでしょう。

カップルの慰謝料ポイント
・恋人に対して慰謝料請求は難しい
・事実婚、婚約をしていれば請求可能

浮気相手が妊娠した場合の慰謝料相場

浮気相手が妊娠したケースなどは、受ける精神的苦痛も大きくなり、慰謝料は高額になる可能性が高いでしょう。また、不倫をした配偶者は子供の出産、中絶費用なども負担する必要があります。もしも浮気相手の女性が出産することを選択すれば「養育費」をどうするかという問題も起こります。

このようなケースは、命がある話ですので弁護士などの専門家に相談し、早期の解決を図ることが大切です。

不貞行為の慰謝料金額を決める要素

具体的には不倫(不貞行為)の慰謝料金額は以下のような事情なども踏まえて総合的に判断されます。

慰謝料の金額を決める要素
  • 結婚期間の長さ
  • 不貞行為の頻度や期間
  • 子供の有無
  • 不倫に起因した病気を発症したか
  • 夫婦関係の状況

過去の判例から見る不貞行為の慰謝料相場

ここでは、不倫の慰謝料金額を過去の判例から見てみましょう。

長年の不倫とDVが原因で慰謝料1000万円

慰謝料が1000万円と高額になった判例があり、詳細は以下の表の通りです。

事案 不貞行為及び暴力による離婚及び慰謝料請求
概要 妻に対し不貞行為や暴力を振るい、離婚及び慰謝料請求を行った事案。

夫は結婚後も不倫が絶えず自宅に女性を連れ込み不貞な行為を長年にわたって行っており、些細なことでも暴力を奮っていました。妻が受けた精神的苦痛が大きいと判断された事例で、慰謝料が1000万円と高額になった事例です。

補足 慰謝料請求額:1000万円
原因:夫の暴力及び不貞行為

【参照】岡山地方裁判所判決平成15年2月18日

上記のように、不貞行為に加えDVもあり、結婚期間も長期に渡ったことから慰謝料の支払いが1000万円と高額になっています。

不倫期間10年、生活費も渡さない夫に慰謝料1300万円

慰謝料が1300万円と高額になった事例があり、詳細は以下の表の通りです。

事案 不貞行為による夫婦関係破綻及び慰謝料請求
概要 夫が不貞行為を行ったことに対して、慰謝料請求を行った事案。

職場の部下に対して不貞行為を行っており、不倫相手との間に子供もできていました。不倫関係が10年と長く続いたことに加え、生活費を妻に渡さないなどの行為を行っていたため、慰謝料が高額になった事例です。

補足 慰謝料請求額:1300万円
原因:不貞行為

【参照】東京地方裁判所判決平成16年9月14日

上記のように、不貞行為が長きに渡り、生活費を渡さないなどの行為も行っていたことから、高額な慰謝料が請求されています。

夫婦関係がすでに破綻していたケースで慰謝料40万円

慰謝料が40万円と低額になった事例があり、詳細は以下の表の通りです。

事案 不貞行為による慰謝料請求
概要 夫の不倫相手に対して妻が不貞行為で慰謝料を請求した事案。

夫と不倫相手が不貞関係にあったことは認めるものの、不倫相手との交際関係が始まる段階ですでに夫婦関係が破綻していたことなども考慮され、慰謝料が40万円と低額になった事例です。

補足 慰謝料請求額:40万円
原因:不貞行為

【参照】東京地方裁判所平成30年1月23日判決

上記のように、相手に不貞行為があったとしても、不倫関係が始まる前の段階で夫婦関係が破綻状態にあると判断された場合、慰謝料が低額になる可能性があります。

不倫期間が短く、離婚に至らないケースで慰謝料50万円

ここでは慰謝料が50万円と低額になった事例を紹介します。

事案 不貞行為による慰謝料請求
概要 夫の不倫相手に対して妻が不貞行為で慰謝料を請求した事案。夫と不倫相手が不貞関係にあったことは認めるものの、不倫関係が8ヶ月と短かったことに加え、不貞行為が原因で離婚に至っていないことなどから、慰謝料が50万円の低額となりました。
補足 慰謝料請求額:50万円
原因:不貞行為

【参照】東京地方裁判所判決平成4年12月10日

上記のように、相手に不貞行為があったとしても、不倫の期間が短かったり、不倫が原因で離婚に至っていない場合などには慰謝料が低くなる傾向があります。

まとめ

不倫(不貞行為)は法的に認められた離婚原因であり、慰謝料を請求することも可能です。また、慰謝料の相場は50~300万円程度ですが、ケースによっては相場よりもかけ離れた金額になることもあります。

不倫における慰謝料は様々な要因で決まってくるため、どのくらい慰謝料が請求できるかは弁護士に確認した方が良いでしょう。最近では無料相談を行っている弁護士事務所も多くあるため、不倫で慰謝料の請求を検討している方は一度無料相談で弁護士に相談することをおすすめします。

不貞行為の慰謝料相場でよくある質問

1回だけの浮気の慰謝料相場は?

不貞行為の慰謝料金額は「不貞行為の回数と期間」も考慮されます。したがって1回だけの不倫だと慰謝料の金額は低くなる可能性があります。しかし、慰謝料の金額は他にも様々な要因で決まるため、必ずしも慰謝料が少なくなるとは限りません。

2、3年前の過去の浮気で慰謝料はいくら請求できる?

数年前の過去の不倫が発覚した場合の慰謝料相場は、一般的な相場(50~300万円)と変わりありません。しかし、数年前の不倫の証拠を確保することは難しいケースが多いため、証拠がない場合は慰謝料が認められない可能性もあります。また、慰謝料請求には時効もあるため注意が必要です。

【関連記事】不倫慰謝料の消滅時効とは|民法改正による変更点

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