不倫の慰謝料請求で相手が弁護士を立てた場合の対処法

  • 最終更新日: 2024.02.15

既婚者と不倫に及んでしまった場合、その配偶者に事実が知られてしまうと慰謝料請求に発展する可能性があります。不倫と言ってもプラトニックな関係もありますが、肉体関係をともなう不貞行為に及んでいる場合は大きなトラブルに発展する可能性があります。

不貞行為は民法770条1項1号に定めるとおり離婚事由に該当し、さらには民法709条の不法行為にも該当するため損害賠償責任を負うのです。

不貞行為の被害者である相手の配偶者がすでに弁護士を立てており、慰謝料請求を求められた場合にはどのように対処すべきでしょうか。この記事では不貞行為に及んでしまった方がトラブルを解決するための対処法をご紹介します。

不倫の慰謝料請求で相手が弁護士を立てた場合の対処法

不倫で不貞行為に及んでいた場合、相手の妻や夫から慰謝料請求を受ける可能性があります。それまで密会を楽しんでいた方も、ある日突然の請求に驚いたという方も決して少なくありません。では、もしも慰謝料の請求を受けた場合にはどのように対処ができるでしょうか。下記3つの対処法をご紹介します。

慰謝料を慌てて支払わない

ある日相手の配偶者から慰謝料を請求されたら、どうして事実が漏れたのか、今後どうするべきなのか動揺をしても無理はありません。高額な慰謝料請求を受けた場合も、不貞行為の事実が会社や家族に知られないかと動揺し、すぐに支払いに応じたくなるでしょう。しかし、不貞行為における慰謝料は次の2点を押さえておくことが大切です。

1. 慰謝料には相場がある

慰謝料を支払う際には不貞行為にもある程度の「相場」があります。相場を確認せずに慌てて支払う必要はなく、適正な金額へと交渉する余地はあるでしょう。(関連:不倫(不貞行為)の慰謝料相場と過去の判例

2. 示談書の作成が必要

慰謝料を支払って穏便に解決したい場合は「示談書」を取り交わす必要があります。示談書を作らずに慰謝料を支払ってしまうと、追加で更なる金銭を要求される、不貞行為の事実を周囲に漏らされてしまうなどトラブルがさらに大きくなる可能性もあります。慌てて支払うことが万全の策とは言い難いのです。

事実関係を確認する

不貞行為とは、あくまでも肉体関係をともなう関係であり、双方に恋愛感情があったとしても肉体関係を持つに至っていない場合には不貞行為とは言えません。デートをする、親密に寄り添う程度では不貞行為とは言えないのです。

肉体関係が無いにも関わらず、デートの痕跡を把握したことから慰謝料請求をしている可能性もあります。相手方が事実をどのように認識しているのか、慰謝料を支払うより前に確認をすべきでしょう。

また、慰謝料を請求されたことをきっかけに相手が既婚者であることを知るケースもあります。既婚者とは知らずに交際していた場合は慰謝料を支払う義務はないため、まずは慎重に慰謝料の請求をしてきた配偶者と話し合う機会を持つべきでしょう。

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弁護士に相談する

不貞行為をしていた既婚者の配偶者から慰謝料の請求を受けた場合、内容証明郵便の文面などからすでに相手が弁護士を立てていることがわかることがあります。この場合、すでに不貞行為の証拠を押さえており、今後訴訟に発展する可能性もあります。

相手が弁護士を立てている場合はご自身が不利な状況に陥りやすくなるため、早めにご自身も別の弁護士に相談をしましょう。また、相手に弁護士がついているかどうかわからなくても、高額の慰謝料を請求してくる、不貞行為の写真をばらまくなどの脅迫行為をほのめかしている場合にも、弁護士への相談が大切です。

慰謝料請求された方が弁護士に委任した後の解決までの流れ

弁護士が相手についており内容証明郵便を送ってきている場合には、相手は不倫の確固たる証拠を持っている可能性も高く、交渉術では弁護士に及ばないため慰謝料の減額交渉なども難しくなる可能性があります。(関連:不貞行為で内容証明が届いたら?対処法と無視してはいけない理由

もしも不貞行為を疑われて慰謝料の請求を受けたら、まずは速やかに弁護士に依頼をしましょう。弁護士に依頼をした場合、事件の解決に向けての流れは以下のとおりです。

委任契約と着手金の支払い

弁護士に不貞行為の慰謝料請求に関する法律相談を行い、交渉などをすべて一任する場合には「委任契約」を行います。ご自身と相性の良い弁護士を見つけるためには複数の法律相談を経験してみることもおすすめです。委任契約後は着手金を支払います。着手金は事件の処理を弁護士が開始するにあたっての費用で、報酬金とは別に納める費用です。

弁護士が相手方と示談交渉

着手金を受けると弁護士は事件を受任したことになり、速やかに相手との示談交渉に移行します。受任後は相手方もしくは相手方の弁護士に受任通知を発送するため、それ以後は直接の連絡は入らなくなります。いったん心のゆとりを取り戻すことができるでしょう。弁護士は慰謝料の金額、支払い方法や時期などを交渉します。不貞行為の事実がない場合は証拠の提出を求めることもあります。

示談の成立

交渉が無事に相手方と成立したら、示談書の取り交わしを行います。慰謝料を支払う場合はその期日などを含めて記載されます。

慰謝料・弁護士費用の支払い

示談書の取り交わしが完了したら、慰謝料の支払いと弁護士費用の支払いを終えて事件が終了します。慰謝料の支払い方法が分割の場合には、約束の返済期日を守りながら支払いを続けていくことになります。

不貞行為した側の弁護士費用相場と依頼するメリット

不倫慰謝料の示談交渉が決裂した場合

弁護士に依頼をしても、相手方が納得をせずに示談交渉が決裂する場合もあります。特に不貞行為の事実をきっかけに相手方の夫婦に離婚問題が起きている場合には事件の解決が難航することも少なくありません。

また、慰謝料の支払いが難しく減額交渉を重ねている場合も決裂してしまうことがあります。では、示談交渉が決裂した場合にはどのような対処ができるのでしょうか。

民事調停とは

示談交渉が決裂すると、慰謝料の支払いを求めて相手方から民事調停へ申立てられる可能性があります。離婚に関する調停は管轄が家庭裁判所ですが、不貞行為に関する民事調停は簡易裁判所へ申立が行われます。

簡易裁判所に申立を行うと、1~2か月に1度程度のペースで調停委員の立ち合いの下で話し合いを行います(各簡易裁判所のスケジュールによる)。調停が成立した場合慰謝料の支払いを行いますが、あくまでも話し合いのため成立がなされない場合は不成立、もしくは取下を行います。

民事調停 | 裁判所
【動画】5分くらいでわかる!!民事調停制度|裁判所

民事裁判とは

民事調停が難航し不成立や取下となった場合には民事裁判に移行することがあります。しかし、離婚調停にある調停前置主義は不貞行為の民事調停においてはありません。調停が煩わしいと感じたら、示談交渉中でも裁判へと発展する場合もあります。

話し合いによる解決を目指すわけではないため、不貞行為の証拠などを提出し、裁判官の判断を求めることになります。一般的には裁判は調停を経た場合、1年以上の年月をかけて不貞行為に関する争いを続けることも少なくありません。

民事訴訟 | 裁判所

よくある質問

次に不貞行為の慰謝料請求に関してよくある質問をご紹介します。

慰謝料を請求されたけど弁護士なしで解決できる?

もしも不貞行為の事実が露見したことにより慰謝料を請求された場合、弁護士に依頼をしなくても問題は解決できるのでしょうか。結論から言うと、ご自身で解決をすることも可能です。

しかし、文中に触れたように相手にすでに弁護士がついている場合はご自身で対応しようとしても不利な条件で示談せざるを得ない可能性があります。

また、相手に弁護士がいない場合怒りを抑えてくれる方がおらず、不貞行為の事実を周囲に広めてしまう可能性も否定できません。もしも弁護士に依頼はしなくても、法律相談を受けてどのように解決すべきかアドバイスを受けることが大切です。

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慰謝料を払えない場合はどうなるの?

慰謝料を支払って解決したくても、現在の生活状況では支払いが困難な場合もあるでしょう。この場合には減額交渉や分割支払いの交渉によって支払うことを検討しましょう。

また、病気などの理由で現在収入状況が不安定な場合には弁護士に依頼をし、諸事情を伝えて金額の交渉をすることがおすすめです。

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まとめ

この記事では不貞行為の相手方の配偶者から慰謝料請求を受けてしまった場合の対処法について解説しました。慰謝料の交渉や調停などの対応は弁護士へ依頼をすることがおすすめです。法律事務所の無料法律相談のサービスや法テラスなどを活用し、まずは法的なアドバイスを受けることから始めましょう。

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