不貞行為により婚姻関係が破綻したとはいえないため、既に支払をした分を差し引いた慰謝料192万円を認めた事例

不二夫が、不二子と不貞関係にあった愛之助に対し、主位的には、示談契約に基づく慰謝料及び違約金等の支払を求め、予備的には、不法行為に基づく慰謝料の支払を求める事案である。

愛之助と不二子が、平成28年3月頃から同年7月頃まで、不貞関係にあったことに争いはなく、不貞関係の発覚後愛之助はは、平成28年9月21日、不二夫があらかじめ示談の内容を記載した謝罪文に署名指印をして、不二子との不貞関係を認めた上で、不二夫との間で、慰謝料として200万円を支払うこと、東京都内及び千葉県内以外の場所に転居することなどを定めた示談契約を締結した。

なお、謝罪文には、愛之助が慰謝料の支払や転居等の約定のいずれか一つにでも違反したときはいかなる違約金を求められても拒まない旨の条項があった。

その後、愛之助は不二夫に対して慰謝料として、平成28年10月31日に2万円、平成29年1月20日に6万円をそれぞれ支払ったが、その余の慰謝料を支払っておらず、また、東京都内の住所地から転居していない状態であった。愛之助は口頭弁論期日において不二夫の脅迫を理由に示談契約の取り消す旨の意思表示をした。

愛之助は、約定のいずれか一つにでも違反したときはいかなる違約金を求められても拒まない旨の条項を含む謝罪文に署名指印をして、不二子との不貞関係を認めた上で、不二夫との間で、慰謝料を支払うこと、転居することなどを定めた本件示談契約を締結したというのであるが、条項の定めからは、愛之助が約定に違反した場合に支払うべき金額が全く明らかでなく、具体的に違約金が定められたものと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠もないため、違約金の支払を求めることはできないとされたが、愛之助が主張する脅迫や公序良俗違反する事情は認められないとした。

愛之助らの不貞行為により、不二夫が強い精神的苦痛を受けたことが認められたが、不二夫らの婚姻関係が破綻したとまではうかがわれず、不二夫の慰謝料として、本件示談契約で定められた200万円を超える金員の支払を命ずるのが相当であるとはいえないため、既払い額を差し引いた192万円が相当とされた。

当事者の情報

不貞期間約4か月
請求額492万円
認容額192万円
子供人数3人
婚姻関係破綻の有無破綻していない

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