肉体関係を持った当時には、婚姻を想定した関係にあると想定しておらず故意・過失も認められないので不法行為は成立せず請求が棄却された事例

不二子と同居して生活していた不二夫が、不二子とは内縁関係にあったが、愛之助が不二子と不貞行為に及んでいたと主張して、愛之助に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料等の支払いを求めた事案である。

愛之助と不二子は、郷土玩具(主にお面)に関するTwitterを通じて知り合い、後日開催された郷土玩具のイベントにおいて顔を合わせ、会うようになり、その後、月に1、2回の頻度で肉体関係を持つ関係になった。

不二夫は大学に在学中に不二子と交際を開始し、不二夫らは生活費を分担して負担しながら同居して生活するようになり、その状態が長期間にわたって継続していたことが認められる。また不二夫は不二子を社会保険において被扶養配偶者としており、婚姻届の用紙を準備して、各自の氏名を記載したほか、不二子の父に証人欄を記載してもらうに至っており、この婚姻届の用紙を準備した時点においては、婚姻する意思を有していたと認められ、その関係は、内縁関係とみるかどうかは別として、婚姻を前提とするものとして法的な保護に値するものに至っていたと考えられる。

しかし、その後婚姻届が届け出られることはなく、入籍や結婚式について何ら具体的には決定されない状態が継続し、不二子が愛之助と肉体関係があった時点で少なくとも不二子は、不二夫との婚姻に対する意欲や期待を弱めており、その関係も、必ずしも婚姻を前提しない相当形骸化したものとなり、保護の必要性も減退していたものと考えられる。また、愛之助は不二子と肉体関係を持っていた当時、不二子が男性と婚姻を想定した関係にあると認識していなかったと考えられ、不二子と肉体関係を持つことによって、不二夫の権利利益を侵害する認識を有していたと認めることはできないとし、愛之助に故意及び過失が認められず不法行為が成立することはないとされ、請求が棄却された。

当事者の情報

不貞期間
請求額391万3008円
認容額0円
子供人数
婚姻関係破綻の有無

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