愛之助Aの行為は不法行為を構成し慰謝料30万円を認めた一方で、愛之助Bの行為は不法行為には当たらないと判断した事例

不二夫が愛之助らが不二子としたLINE上のやりとり等が不貞行為に当たるとして、愛之助らに対し、不法行為に基づき慰謝料等の支払いを求めた事案である。

不二子と愛之助らは同じ職場に勤務しており、愛之助Aと不二子は不二夫と婚姻前の交際期間中に性的関係を有していた。

不法行為とは、通常、性交渉又はこれに類似する行為をさし、異性との交流、接触が不貞行為に該当するということはできず、不貞行為が不法行為に該当するのは婚姻関係の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するからであることからすると、その行為の態様、内容、経緯等に照らす、不貞行為に準ずるものとして社会的に許容される範囲を逸脱し、権利又は利益を侵害するか否かという観点から不法行為の成否を判断するのが相当であるとし、愛之助らの不法故意の成否が争点となった。

愛之助Aは、不二子との間でLINEのやりとりをしたことは争いがなく、その内容からして、愛之助Aと不二子が従前性的関係を有していたことを前提として性的行為の内容を露骨に記載して性交渉を求めるものであると認められ、不貞行為には該当しないものの、これに準ずるものとして、社会的に許容される範囲を逸脱するものといえ、婚姻関係の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するものであるというべきと言えるから、不法行為を構成すると認められたが、もっともその態様は不貞行為そのものではなく、LINEのやり取りという夫婦間においても一定の秘匿性があり、不二夫が目にすることを想定していないものであったこと、不二夫らは別居し、不二子が離婚調停を申し立てて係争中であるところ、愛之助Aの好意もその一因となったことが窺われるが、不二夫が不二子に無断でLINEを監視するなどし、愛之助B、Cとの関係を疑ったことも原因となったことが窺われること、その他の事情を考慮しても慰謝料額は30万円、弁護士費用3万円の計33万円が相当とされた。

愛之助Bについては、不二子が勤務先のの五回に出席して帰宅しなかった後のころに、愛之助Bが不二子宛てにラインで「俺エロいから」との文章を送ったとするもので、同文章を送ったとして、不貞行為に準ずるものとしてそれ自体社会的に許容される範囲を逸脱し、婚姻関係の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するものとは認められず、愛之助Cについては、LINEのやりとりから不二子と恋愛感情で結ばれていることを如実に示すものであり、不二子の貞操義務違反を推認させるものであるということはできず、不二夫がそのように考えたことは推測の域を出るものではないとして、不法行為は認められなかった。

当事者の情報

不貞期間1回
請求額愛之助Aに対して568万2270円
愛之助Bに対して340万9362円
愛之助Cに対して340万9362円
認容額愛之助Aに対して33万円
愛之助B、Cに対して0円
子供人数1人(3歳)
婚姻関係破綻の有無

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