元夫の妻に対し、慰謝料300万円を請求したが、不法行為が成立するとは認められなかった事例

本件は、不二子が、元夫(不二夫)の妻である愛子に対し、愛子がした、
①不二子と不二夫の婚姻中に不二夫と性的関係を持ち、不二夫と同居した。
②不二夫と共謀して、不二子を騙して離婚届に署名させて離婚を届け出た。
③不二夫の居宅に居住し、不二夫の配偶者として生活し、不二子による不二夫の居宅への立入りを拒絶した。
④不二夫の母と養子縁組をして不二夫との間で夫婦としての関係を継続し、不二夫の配偶者としての不二子の立場を事実上否定した。
⑤不二夫に離婚調停を申し立てさせ、不二子と不二夫とを離婚させた。
という不法行為により、不二子が精神的苦痛を受けたとして、慰謝料300万円及び弁護士費用を請求した事案です。


愛子と不二夫とは、小学校の同級生で、同窓会を通じて交流がありました。

不二夫は、不二子の署名のある離婚届を提出、遅くともその後間もなく愛子と交際を開始し、同年愛子との婚姻の届出をしました。その後、不二子と不二夫との協議上の離婚が無効であることを確認する旨の審判が確定、さらに、不二夫と愛子との婚姻を取り消す旨の判決も出ました。

すると、愛子は不二夫の母との間で養子縁組をし、不二夫は、不二子に対して離婚の調停を申し立て、不二子と不二夫とは調停離婚しました。そして不二夫と愛子は婚姻したという事実関係の流れがあります。


愛子が、不二子と不二夫の婚姻関係の破綻前に不二夫と性的関係を持ち、不二夫と同居した旨の主張、愛子が不二夫と共謀して、不二子を騙して離婚届に署名させて離婚を届け出た旨の主張は、その旨の事実が認められず採用されませんでした。


また、愛子が不二夫と共謀して、不二子を騙して離婚届に署名させて離婚を届け出た旨の主張、愛子が不二子が不二夫の会計事務所兼居宅に立ち入ることを拒絶した旨の主張、愛子が不二夫に調停離婚を申し立てさせた旨の主張については、そもそも離婚届への署名押印や、不二子に対する不二夫の居宅への立入りの拒絶、不二夫による調停離婚への申立てのいずれについても、愛子が関与したことを認めるに足りる証拠がないことからも、採用できないことは明らかだとされてしまいます。


そして、愛子と不二夫の母との養子縁組について、不法行為に当たると見るべき事情は見当たらないし、愛子が、不二夫の会計事務所兼居宅にて不二夫と同居していた事実を認めることはできないから、上記養子縁組や同居等により愛子が不二夫の配偶者としての不二子の立場を事実上否定した旨の主張を含め、上記事実を前提とした不法行為に係る不二子の主張もまた採用されず、不法行為が成立するとは認められないとされ請求は棄却されました。

当事者の情報

不貞期間不明
請求額330万円(うち慰謝料300万円)
認容額0円
子供人数3人(25歳、21歳、17歳)
婚姻関係破綻の有無不法行為が成立するとは認められない

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