更新日:2023年8月25日 (金)
公開日:2023年8月25日 (金)
【弁護士解説】ペット関連会社からの独立・起業
サマリー
ペット関連会社から独立して同種事業を始める場合、まず在職中の就業規則で秘密保持条項と競業避止義務を確認する必要があります。就業規則に定めがなくても、営業秘密を使用すれば不正競争防止法上の差止請求や損害賠償請求を受けます。第一種・第二種動物取扱業の登録や届出も必要です。
ご相談の内容
Q:現在所属しているペット関連会社から独立し、新たに同種事業を開業しようと考えています。
現在所属している会社との関係や、今後会社を運営していく上で重要なポイント等はありますか?
回答の結論
A:現在就労している会社の就業規則に秘密保持条項、競業避止義務がないかを検討してください。
また新たな会社の設立においては、許認可が必要な可能性があります。
秘密保持義務
会社の就業規則内に、
就業規則の秘密保持条項の例
従業員は、在職中のみならず退職後も、会社の業務上の機密事項を、第三者に開示、漏洩、提供、又は業務以外の目的に使用してはならない。
等のいわゆる秘密保持条項が設けられている可能性があります。
また、そのような秘密保持条項が設けられていない場合であっても、不正競争防止法(以下「不競法」といいます。)上の「営業秘密」(不競法2条6項)に該当する事項を使用しまたは開示した場合には、差止請求や(3条)、損害賠償請求(4条)、信用回復措置請求(14条)等の請求を受ける可能性があります。
就業規則上保護される秘密情報は、明確な定義付けがされていないことが多く、曖昧な概念にはなりますが、営業秘密より広範で、これを包括する概念になります。
そこで、ひとまず不競法上の営業秘密の定義をみると、
不正競争防止法2条6項
6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
この定義から、次の3つの要件が導かれます。
秘密管理性(秘密として管理されていること)
企業の秘密管理意思が従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保されていることが必要です。
経済産業省の「営業秘密管理指針」(令和7年3月31日改訂)は、「秘密管理性要件が満たされるためには、営業秘密保有者の秘密管理意思が秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要がある。」としています。具体的に必要な措置の内容・程度は、企業の規模、業態、従業員等の職務、情報の性質等によって異なります。
有用性(有用な営業上又は技術上の情報であること)
当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、利用されることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つものであることが必要です。
非公知性(公然と知られていないこと)
保有者の管理下以外では一般に入手できないことが必要です。
また、上記のとおり営業秘密に該当しない情報であっても、就業規則上の秘密情報に該当する可能性があるため、会社の営業上、技術上の情報や、ノウハウ等を開業後にも利用する場合、これに注意する必要があります。
営業秘密管理指針(経済産業省)も参考になります。
競業避止義務
会社の就業規則内に、
就業規則の競業避止条項の例
従業員が、退職し、又は解雇された場合は、会社の承認を得た場合を除き、離職後 ●年間は、日本国内において会社と競業する業務を行ってはならない。
等のいわゆる競業避止義務が設けられている場合があります。
これに違反し、従前所属していた会社と同業の会社を起業しようとした場合、損害賠償請求や競業の差止請求を受ける可能性もあります。
競業避止義務規定は、憲法上認められる職業選択の自由(憲法22条1項)を侵害するおそれがある場合には、合理性を欠き無効と解されることとなります。
無効か否かは、
- 競業制限の期間
- 場所的範囲
- 制限される職種の範囲
- 在職時の労働者の地位
- 代償措置の有無
等を総合考慮して判断されることとなります。
そして、代償措置の内容にもよりますが、競業の制限期間が、2年を超えるような場合には、無効と解される傾向が強いです。
許認可等
ペット関連会社を起業する場合に特に注意を払わなければならないのは、都道府県知事等から適正な許認可を得る必要があるということです。
第一種または第二種動物取扱業者に該当する場合には、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動愛法」といいます。)上の各種基準を満たしたうえで、登録(動愛法10条1項)または届出(同法24条の2の2)を行う必要があります。
第一種動物取扱業は、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示、譲受飼養、競りあっせん、譲渡しあっせんを営利目的で行う場合が対象で、都道府県知事等の登録が必要です。非営利で一定数以上の動物を飼養する場合は第二種動物取扱業として届出が必要です。
他にも、業種次第では、飲食店営業許可や旅館業法上の許可を受ける必要がある等、適正な許認可等を得る必要があります。
まとめ・ご相談はネクスパート法律事務所へ
退社をし、同種の会社を起業しようとする場合には、以上のような危険や、必要不可欠な諸手続があります。
また起業に当たっては、イグジット(M&A、IPO等)を定め、適正な事業計画を立て、資金調達を行っていく必要があります。
ネクスパート法律事務所では、ペットや企業法務の専門チームがあり、これらのお悩みに対応することができます。
起業に不安がある方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な対応については弁護士にご相談ください。
コラム監修者