更新日:2026年9月3日 (木)
公開日:2026年9月3日 (木)
盗撮は迷惑防止条例違反になる?処罰対象となる行為・罰則・逮捕後の流れを解説
サマリー
盗撮は、従来から各都道府県の迷惑防止条例によって規制されてきましたが、2023年7月13日に性的姿態撮影等処罰法(いわゆる撮影罪)が施行されたことにより、現在は行為の内容に応じて迷惑防止条例または同法が適用されます。
盗撮は、撮影場所や撮影対象、撮影方法、撮影後の画像・動画の取扱いなどによって適用される法令や処罰の内容が異なります。
迷惑防止条例違反に該当するケースもあれば、性的姿態撮影等処罰法による処罰の対象となるケースもあり、事案によっては両者の関係を踏まえた検討が必要です。
近年はスマートフォンや小型カメラの普及などを背景に、盗撮事件は現在も多く発生しており、盗撮に対する法規制は強化されています。
盗撮事件では、どのような場合に迷惑防止条例違反となるのか、性的姿態撮影等処罰法が適用されるのはどのようなケースなのか、それぞれの違いや処罰の内容を正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、盗撮と迷惑防止条例違反の関係をはじめ、迷惑防止条例違反となる行為や罰則、事件後の刑事手続の流れ、2023年に施行された性的姿態撮影等処罰法(いわゆる撮影罪)との違いについて、実務上の取扱いも踏まえながらわかりやすく解説します。
盗撮は迷惑防止条例違反になる?

盗撮は、迷惑防止条例違反として処罰される場合、があります。
もっとも、2023年7月13日に性的姿態等撮影罪、(以下、本記事では「撮影罪」といいます。)が施行されたことにより、現在は盗撮行為の内容に応じて、迷惑防止条例または撮影罪が適用されます。
従来、盗撮は各都道府県の迷惑防止条例によって規制されてきました。
現在でも迷惑防止条例違反は盗撮事件で問題となる代表的な犯罪類型の一つですが、撮影罪の施行によって一定の盗撮行為については全国共通の基準で処罰されるようになり、盗撮に対する法規制は強化されています。
迷惑防止条例とは
迷惑防止条例、とは、痴漢や盗撮、つきまといなどの迷惑行為を防止し、住民の平穏な生活を守ることを目的として、各都道府県が制定している条例です。
条例の名称や具体的な規制内容、罰則には都道府県ごとの差がありますが、いずれの都道府県でも盗撮行為を処罰対象とする規定が設けられています。
迷惑防止条例違反が成立した場合には刑事罰が科される可能性があり、盗撮は単なるマナー違反ではなく、犯罪として取り扱われます。
盗撮行為が規制される理由
盗撮は、被害者の性的羞恥心やプライバシーを侵害する行為です。
駅や電車内などの公共の場所だけでなく、更衣室やトイレなどの私的な空間で行われるケースも多く、被害者に大きな精神的苦痛を与えるおそれがあります。
また、撮影された画像や動画がインターネット上に流出・拡散した場合には、被害が長期間にわたって続く可能性もあります。
このような被害を防止し、個人の人格的利益や私生活の平穏を保護するため、盗撮行為は迷惑防止条例や撮影罪によって規制されています。、
2023年施行の撮影罪との関係
2023年7月13日に撮影罪が施行され、性的姿態等をひそかに撮影する行為などについて、全国共通の基準で処罰できるようになりました。
従来、盗撮事件の多くは各都道府県の迷惑防止条例によって処罰されていましたが、条例ごとに規制内容や処罰対象に違いがありました。
撮影罪の施行によって、一定の盗撮行為については全国共通の基準が設けられています。
もっとも、撮影罪が施行された現在でも、迷惑防止条例が適用されるケースは少なくありません。、
盗撮事件では、撮影場所や撮影対象、撮影方法などによって適用される法令が異なるため、迷惑防止条例違反となる場合もあれば、撮影罪が適用される場合もあります。
そのため、盗撮事件では、どの法令が適用されるかによって成立する犯罪や処罰の内容が異なります。
適切な対応を取るためには、盗撮と迷惑防止条例違反の関係や、撮影罪との違いを正しく理解しておくことが重要です。
迷惑防止条例で処罰される主な盗撮行為
迷惑防止条例では、人に著しい羞恥心や不安を与える盗撮行為が処罰の対象、とされています。
具体的な規制内容や罰則は都道府県によって異なりますが、駅や電車内などの公共の場所や公共交通機関における盗撮行為のほか、トイレや更衣室などにおける盗撮目的の行為についても、迷惑防止条例違反となる場合があります。
もっとも、2023年7月に施行された撮影罪の適用対象となる事案もあるため、実際に適用される法令は、撮影場所や撮影方法、撮影対象などの具体的な事情に応じて判断されます。
駅や電車、商業施設など公共の場所での盗撮
駅のホームや階段、エスカレーター、電車内、商業施設などで、スカートの中や下着、身体の一部を無断で撮影する行為、は、迷惑防止条例違反として摘発される代表的な事例です。
スマートフォンを衣服の下に差し向けたり、小型カメラを使用したりする手口も多く見られます。
行為の内容によっては、迷惑防止条例だけでなく、撮影罪が適用される場合もあります。
トイレや更衣室などでの盗撮
公衆トイレや更衣室、浴場など、人が通常衣服を身に着けない場所での盗撮、は、被害者のプライバシーや性的羞恥心を著しく侵害する悪質な行為です。
このような場所では、性的姿態等をひそかに撮影した場合には撮影罪が適用される可能性、があります。
一方で、盗撮目的でカメラを設置した場合や、カメラやスマートフォンを差し向けた段階で発覚した場合など、撮影罪の成立が問題とならない事案では、迷惑防止条例違反が適用されることがあります。
そのため、トイレや更衣室での盗撮事件では、撮影罪だけでなく迷惑防止条例が適用される場面も少なくありません。
具体的にどの法令が適用されるかは、行為の内容や事件の状況を踏まえて個別に判断されます。
盗撮行為に対する罰則

盗撮行為に対する処罰は、迷惑防止条例違反が適用されるか、撮影罪が適用されるかによって異なります。
また、同じ盗撮事件であっても、犯行態様や被害の程度、前科前歴の有無などによって、最終的な処分は変わる可能性があります。
迷惑防止条例違反の罰則
迷惑防止条例違反の法定刑は都道府県ごとに異なりますが、多くの自治体では、盗撮行為に対して拘禁刑または罰金刑、が定められています。
例えば、東京都の迷惑防止条例では、盗撮行為に対して1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、(※条例違反の類型によって異なります。)が定められています。
実際の処分は、犯行態様や被害の程度、撮影回数、前科前歴の有無、被害者との示談の成立状況などを総合的に考慮して判断されます。
撮影罪の罰則
撮影罪が成立した場合には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、が科される可能性があります。
また、撮影行為だけでなく、盗撮した画像や動画を提供したり、不正に保管したりする行為などについても、性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)に基づいて処罰の対象となる場合があります。
どの犯罪が成立するかや適用される法定刑は、行為の内容や画像・動画の取扱いなどによって異なるため、個別の事案ごとに判断されます。
常習的な盗撮は重く処罰される可能性がある
過去にも盗撮事件を起こしている場合や、盗撮を反復継続して行っていた場合、には、悪質性が高いと評価される可能性があります。
その結果、不起訴処分を得ることが難しくなったり、起訴される可能性が高まったりするほか、刑事裁判において量刑を判断する際にも不利な事情として考慮されることがあります。
また、再犯のおそれがあると判断された場合には、逮捕や勾留の必要性が認められることもあります。
前科が付く可能性がある
盗撮事件で起訴され、有罪判決を受けると前科が付きます。
前科が付くと、就職や資格取得などに影響が及ぶ可能性があります。
ただし、すべての事件が起訴されるわけではなく、初犯であることや被害者との示談が成立していることなどの事情が考慮され、不起訴処分となるケースもあります。
そのため、盗撮事件で捜査を受けている場合には、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、示談交渉や再発防止に向けた取組みを進めることが重要、です。
盗撮で逮捕されるケースとその後の流れ
盗撮事件では、現場で発覚して現行犯逮捕されるケースだけでなく、防犯カメラ映像などの捜査によって後日逮捕されるケース、もあります。
一方で、すべての事件で逮捕されるわけではなく、在宅事件として捜査が進められる場合もあります。
現行犯逮捕
盗撮の現場で被害者や周囲の人に発見され、その場で警察官に引き渡されると、現行犯逮捕、されることがあります。
現場では、スマートフォンや小型カメラなどの撮影機器が押収され、画像データや動画データなどの証拠が確保されるケースも少なくありません。
現行犯逮捕については、以下の記事も合わせてご参照ください。
現行犯逮捕の要件|成立条件・通常逮捕や緊急逮捕との違いを徹底解説
後日逮捕
事件当日に現場から立ち去った場合でも、防犯カメラ映像やICカードの利用履歴、目撃者の供述などから被疑者が特定され、後日逮捕、されることがあります。
特に駅構内や商業施設などでは防犯カメラが多数設置されており、客観的な証拠をもとに身元が判明するケースも少なくありません。
盗撮事件の後日逮捕については、以下の記事も合わせてご参照ください。
盗撮で後日逮捕される確率は?逮捕を回避する4つの対処法を徹底解説
逮捕後の手続き
逮捕後は、警察による取調べや証拠収集が行われます。
その後、事件は検察官へ送致され、検察官が勾留の必要があると判断した場合には、裁判官に対して刑事訴訟法第206条の勾留を請求します。
裁判官が勾留を認めた場合には、引き続き身柄を拘束した状態で捜査が行われます。
捜査が終了すると、検察官が証拠や事件の内容を踏まえ、起訴するか不起訴とするかを判断、します。
不起訴処分となった場合には前科は付きません。
一方、起訴されて有罪判決が確定すると前科が付くことになります。
盗撮事件で不起訴を目指すために重要な対応
盗撮事件では、事件発覚後の対応が、その後の処分に影響を及ぼすことがあります。
特に、被害者への対応や再犯防止に向けた取組みは、検察官が起訴・不起訴を判断する際の事情の一つとして考慮される可能性があります。
被害者との示談を目指す
盗撮事件では、被害者との示談が成立すると、被害者の処罰感情が一定程度緩和されたものとして評価されることがあります。
示談の成立は、検察官が起訴・不起訴を判断する際の重要な事情の一つであり、特に初犯の事案では、有利な事情として考慮されることがあります。
もっとも、示談が成立すれば必ず不起訴になるわけではなく、犯行態様や前科前歴なども含めて総合的に判断されます。
刑事事件の示談交渉については、以下の記事も合わせてご参照ください。
示談交渉とは?刑事事件の示談の流れや注意点・示談金相場を徹底解説
反省と再犯防止策を示す
真摯に反省していることを示すだけでなく、再犯防止に向けた具体的な取組みを行うことも重要、です。
例えば、専門機関でのカウンセリングを受けたり、更生プログラムに参加したりすることは、再発防止に向けた取組みとして評価される可能性があります。
こうした事情は、事案によっては検察官の処分判断や裁判における量刑判断で考慮されることがあります。
早期に弁護士へ相談する
盗撮事件では、事件発覚後の初動対応が重要です。
早い段階で弁護士に相談することで、取調べへの対応について助言を受けられるほか、被害者との示談交渉や再犯防止策の検討を進めることができます。
また、事案に応じて、身柄拘束の回避や早期の釈放、不起訴処分の獲得に向けた弁護活動を行うことも可能です。
盗撮・迷惑防止条例違反に関するよくある質問(FAQ)
盗撮や迷惑防止条例違反については、「初犯なら不起訴になるのか」「撮影データを削除すれば処罰されないのか」など、多くの疑問が寄せられます。
ここでは、盗撮事件で特によくある質問について、実務を踏まえてわかりやすく解説します。
撮影データを削除したら罪はなくなりますか?
いいえ。盗撮事件では、撮影行為そのものが問題となるため、撮影データを削除したとしても犯罪がなかったことになるわけではありません。、
また、削除したデータが解析によって復元される場合もあります。
データを削除した事情が捜査や裁判でどのように評価されるかは事案によって異なるため、自己判断で対応するのではなく、できるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。、
盗撮の初犯なら不起訴になりますか?
初犯であることは、不起訴処分を判断する際の有利な事情の一つですが、それだけで不起訴になるとは限りません。、
実際には、犯行態様や被害の内容、被害者の処罰感情、示談の成立状況、再犯防止への取組みなど、さまざまな事情を総合的に考慮して処分が判断されます。
盗撮で会社や家族に知られることはありますか?
逮捕や勾留によって長期間帰宅できなくなった場合や、事件が報道された場合には、家族や勤務先に知られる可能性があります。、
また、捜査の過程で家族の協力が必要となるケースもあります。
こうした影響をできる限り抑えるためにも、事件発覚後は早い段階で弁護士へ相談し、適切な対応を検討することが重要です。
まとめ
盗撮は、迷惑防止条例や撮影罪によって処罰される可能性がある犯罪です。、
どの法令が適用されるかは、撮影場所や撮影対象、行為の内容などによって異なります。
2023年の法改正により盗撮に対する法規制は強化されており、事案によっては逮捕や起訴に至ることもあります。
また、有罪判決が確定すると前科が付き、仕事や家庭生活などに影響が及ぶ可能性もあります。
もっとも、盗撮事件では、すべての事案が起訴されるわけではありません。
被害者との示談が成立していることや、再犯防止に向けた取組みなどが考慮され、不起訴処分となるケースもあります。
盗撮や迷惑防止条例違反の疑いで捜査を受けている場合には、早い段階で弁護士へ相談し、事案に応じた適切な対応を検討することが重要、です。
ネクスパート法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しています。
初回相談は、30分無料、です。
ぜひ一度ご相談ください。
コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:代表(東京オフィス)
広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。