債務整理するタイミング|判断基準となる借入額・返済額や状況
借金の返済が苦しくなっても、次のような理由で債務整理を躊躇していませんか?
- 借金を周りに知られたくない
- クレジットカードが利用できないと困る
- ブラックリストに載りたくない
- 車や自宅がなくなると困る
- 何から手を付ければよいか分からない
借金の滞納を放置すると、債権者に裁判や差押えをされる可能性があります。
この記事では、次の点を解説します。
- 債務整理すべきタイミングは?
- 債務整理すべき借入額の基準とは?
- 債務整理のタイミングを逃した場合のリスク
借金にお悩みの方はご参考になさってください。
債務整理すべきタイミングは?
債務整理を検討すべきタイミングが分からず、無理な返済を続けてしまう方も少なくありません。債務整理は、返済計画が破綻する前に行うのが原則です。
ここでは、債務整理を検討すべき7つのタイミングを紹介します。
- 返済のために借金しているとき
- 借金の利息分しか支払えていないとき
- 収入の3分の1以上を返済にあてているとき
- 複数の会社から借金しているとき
- 新たな借入を断られたとき
- 約定通りの返済が困難になったとき
- 収入がなくなったとき
ひとつずつ説明します。
返済のために借金をしているとき
返済のために借入を繰り返していると、雪だるま式に借金の総額が増え、事態はますます悪化します。
このような状態にある方は、なるべく早く債務整理することをおすすめします。
借金の利息分しか支払えていないとき
返済を続けていても、元本が減らないことがあります。毎月の返済額を抑えると利息分しか払えなくなるからです。元金が減らない返済方法では将来的に完済できる見込みがありません。このような場合も債務整理を検討すべきタイミングです。
収入の3分の1以上を返済にあてているとき
返済額が月収の3分の1を超えている場合、返済が回らなくなるおそれがあります。返済額が家計を圧迫している場合は、債務整理を検討しましょう。
複数の会社から借金しているとき
複数の会社から借金すると、多くのケースで返済の目途が立てられないまま、返済のために借入を繰り返すようになります。自転車操業に陥った場合は、早期に債務整理を検討しましょう。
新たな借入を断られたとき
新規借入やクレジットカード発行を断られたときは、債務整理を検討すべきタイミングです。借入が断られる場合は、次のいずれかに該当している可能性があります。
- ブラックリストに載っている
- 金融機関独自のデータに遅延情報が記録されている
- 借金の総額が年収の3分の1を超えている
約定通りの返済が困難になったとき
毎月の返済額や返済期日を守れなくなったときは、債務整理を検討しましょう。延滞が2~3ヶ月以上になるとブラックリストに載り、新たな借入・カード発行が困難になります。
収入がなくなったとき
次のような事情により安定した収入が得られない場合、返済が回らなくなるおそれがあります。
- 失業して再就職の見込みがない
- 怪我や病気による長期療養で収入が絶たれた
減収・失職により完済の見込みがない場合は、早めに債務整理を検討しましょう。
債務整理すべき借入額の基準とは?
ここでは、借入額がいくらになれば債務整理を検討すべきか説明します。
住宅ローンを除く借金の総額が年収の3分の1以上
債務整理すべき借入額の基準は、年収の3分の1以上の借金がある場合です。
貸金業法の改正により、2010年6月以降、貸金業者は債務者の年収の3分の1を超える貸付ができなくなりました。これを総量規制といいます。総量規制は、過剰貸し付けを防ぎお金を借りる人を保護する制度です。
例えば、年収300万円の人は100万円までは借入ができますが、それ以上はできません。既に借入がある場合、その残高が60万円であれば残り40万円しか借りられません。
年収の3分の1は、これを超えると返済不能となる確率が高く、これを超えない借入であれば家計を圧迫せず返済を継続できると金融庁が判断した数値です。
総量規制は貸金業法の適用を受ける者のみへの規制であり、銀行からの借入には総量規制が適用されません。
各手続きの利用条件となる借入額
債務整理の種類別に、利用条件となる借入額を見てみましょう。
任意整理
借金総額の元本を36~60で割った金額を毎月払える場合は、任意整理を検討できます。
任意整理は、原則として3~5年(36~60回)での完済が条件となるからです。
特定調停
借金の総額の元本を36~60で割った金額を毎月払える場合は、特定調停を検討できます。
特定調停は、原則として3~5年(36~60回)での完済が条件となるからです。
個人再生
住宅ローンを除く借金の総額が100万円以上で5,000万円を超えない場合は、個人再生を検討できます。
個人再生は、住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円を超えると利用できません。個人再生の返済額の下限(最低弁済額)は100万円なので、借金の額が100万円に満たない場合は、個人再生を利用するメリットがありません。
自己破産
自己破産は、借金の総額が5,000万円を超えても利用できます。金額の上限はありません。
ただし、裁判所が収入の範囲で完済できると判断するほど借金が少ない場合は、自己破産が認められません。
債務整理のタイミングを逃した場合のリスク
ここでは、債務整理のタイミングを逃した場合のリスクを解説します。
債務整理をしなくても滞納によりブラックリストに登録される
一般的には、次のような場合、信用情報機関に延滞情報が登録されます。
- 借金を3ヶ月以上滞納した場合
- 1~2ヶ月以上の遅延が複数回ある場合
延滞情報は、契約中及び完済後から5年間残ります。この期間は、新規借入・カード発行の審査が通らなくなる可能性が高まります。
裁判を起こされる可能性がある
借金を滞納し、債権者からの督促を放置すると、債権者が裁判を起こす可能性が高まります。
財産を差し押さえられる可能性がある
債権者から裁判や支払督促を申立てられ、債権者の請求が認められると、判決・支払督促が発布されます。これにより債権者は、債務者の財産を差し押さえて借金を回収します。
借金解決の選択肢が減る
借金が増え過ぎると返済の見込みが立たず、任意整理で解決できない場合があります。
借入先から既に差押さえを受けている場合は、自己破産・個人再生により解決せざるを得ない可能性が高まります。住宅ローンを6ヶ月以上滞納すると、個人再生で住宅資金特別条項も適用できない可能性があります。
まとめ
今回は債務整理のタイミング・借入額の基準を紹介しました。借入額の基準は年収の3分の1以上ですが、それ以内の範囲でも債務整理をした方が良いケースもあります。
個々の事情に応じて適切なタイミングで債務整理するためには、弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所は、借金に関するご相談は初回30分無料です。ご自身でタイミングを見極められない方・債務整理に躊躇している方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。