任意整理のメリットとデメリットについて
消費者金融からの借入やクレジットカードでのキャッシングが膨らみ返済が難しくなってしまったら、抜本的な解決が必要です。
借金問題の解決方法には裁判所が関係する「法的整理」と、借主側と貸主で任意で話し合って解決する「任意整理」の2種類があります。
「任意整理」にはお互いの話し合いで行うため早期にまとまりやすい、相手を選択できるなどのメリットがあります。
一方あくまで任意のため「法的整理」ほど借金の削減効果はない等のデメリットもあります。
ここでは任意整理のメリットとデメリットについて、わかりやすく解説します。
目次
任意整理とは
任意整理とは借金問題を解決する債務整理の方法のひとつで、貸金業者などの貸主と借りた側の借主が、毎月の返済額や今後発生する利息を含んだ総額について「任意」で話し合って解決する手続きです。
「法的整理」とは、裁判所が関与するかという点で異なります。
任意整理のメリット
督促が止まります
返済額全体について話し合うことを申し出ているので、基本的にその時点での支払いについての督促は待ってくれます。
しかしあくまで任意の話し合いですので、相手方が必ず督促を待ってくれるわけではありません。
話し合いに応じるために督促を止めるかどうかは、相手方の判断によります。
これまでずっと支払いが遅れていた借主が急に話し合いを申し出ても、すぐに納得してくれることは難しいでしょう。
ただし責任を持って交渉にあたる弁護士に任意整理を依頼すれば、督促は止まるケースがほとんどです。
手続きは簡単です
任意の話し合いですので、裁判所に提出する書類もなければ厳格な手続きの規定もありません。
当事者間で納得すればいいので、内容で合意できればもっとも迅速に解決できる方法です。
財産を残すことが可能です
破産や民事再生などの法的整理と異なり、不動産や自動車といった手元の財産を処分せずに残すことが可能です。
将来の利息をカットして、完済までの見通しがつきます
多くの任意整理でまとまる条件は、元金プラス合意日までの利息や遅延損害金(支払いが遅れた場合の加算金と考えればいいでしょう)を、3年から5年で支払っていくものです。
債務整理しなければ、将来発生する利息も支払わないと完済しませんが、任意整理ではその将来利息をカットするよう交渉します。
そのことにより完済に必要な金額が確定するので、完済までの見通しがつくことになります。
話し合う相手を選べます
破産や民事再生といった法的整理では、解決する相手を一部に限定することはできません。
法律に則って債権者を平等に扱う必要があるためです。
一方あくまで任意で話し合う任意整理では、必要な相手だけを選ぶことが可能です。
具体的に言うと車のローンはそのまま支払い、一部の貸金業者のみと話し合うといったことも可能です(但し相手がそれで合意してくれるかは別問題です)。
職業への制限はありません
破産手続きの場合、手続きが終了して支払い義務の免除(免責といいます)が確定するまで就けない資格・職業がありますが、任意整理にはそのような職業制限はありません。
制限のある資格・職業の方にはメリットとなります。
制限される職業の例
- 弁護士や司法書士、税理士等の士業
- 警備員、警備業者
- 保険募集人、保険業者
任意整理のデメリット
借金の元金はカットできません
任意整理はあくまで相手方との話し合いにより行う手続きです。
相手は営利を追求する民間企業であり、ほとんどの場合話し合いでは元金の減額(カット)に応じません。
ただ、任意整理の話し合いの中で過払金(注)があることが判明した場合、元金が減額する可能性があります。
(注)過払金:カードローンやキャッシングにおいて、貸金業者等に払いすぎていた利息のこと。
利息制限法の上限金利(15%~20%)を超え出資法の上限金利(29.2%)までのグレーゾーンと呼ばれる金利で払った利息は、利息制限法の上限金利で計算し直すことができます。
過去に支払った金額を計算し直すと、払いすぎていた利息を元金に支払ったとして減額できることがあります。
任意ですので、必ず応じてくれるわけではありません
法律に定められた手続きである法的整理とは異なり、相手方に話し合いに応じる法的な義務はありません。
従って話し合いに応じてくれるかどうかは相手方次第です。
相手方は借金のプロですので、損失につながるような任意整理にはできれば応じたくないのが本音です。
そのような相手との交渉力の有無は、任意整理では大きなポイントです。
3年~5年で解決できる返済力が必要です
本来応じたくない任意整理に相手方が応じる理由は、元金プラスアルファの金額を3年から5年で解決できることが相手方としてもメリットがあるからです。
そもそもこの金額を借主に3年から5年で完済するその返済力が無ければ、この話し合いは成立しません。
しばらくはローン、クレジットが使えません
話し合いを持つ相手方はもちろん、時間差はあれ他のローンやクレジットも利用できなくなります。
任意整理を行ったことは、相手方の貸金業者等より個人信用情報に登録されます。
話し合いを持たなかった借入先であってもクレジット会社等であれば定期的に個人信用情報を確認しており、他社で任意整理したことがわかった時点で利用を止めることがほとんどです。
新規のクレジットを利用する時には当然個人信用情報を確認されるので、新規に利用することは難しくなります。
任意整理を行うとしばらくはローンやクレジットが利用できません。
まとめ
任意整理は大きな借金の削減効果は見込めませんが、手続きは簡単で迅速な解決が期待できます。
しかし借金のプロである相手方との交渉には、専門知識と経験が必要です。
話し合いに応じてくれるかもわかりません。
弁護士などの借金問題の専門家であれば、豊富な専門知識と経験で交渉を有利にすすめることが可能です。
交渉力により利息のカットも可能な場合もあります。