借金をひとつにまとめることの大きなリスクとは?
消費者金融などの貸金業者やクレジットカードのキャッシングを借り過ぎて返済に困るようになった方の中には、「借金をひとつにまとめて返済を楽に」などの言葉が気になる方が多いようです。
借金をひとつにまとめることは可能なのでしょうか。
可能だとして実際どのように行うのでしょうか。
借金をひとつにまとめるとは、言い換えれば多数の相手に借りている借金合計額を一社から借りて、他社の借金を返してしまうことです。
ここではそのように借金をまとめることで得られる安心とリスクについて、わかりやすく解説します。
目次
借金をまとめるとは
借金をまとめるとは、今ある借金総額をひとつの貸主より借金して、他の借金を返してしまうことです。
具体的に解説します。
貸主A、貸主B、貸主Cからそれぞれ100万円を借りているケースで毎月の元金返済金額が3万円4万円、5万円とします。
この時に貸主Dより300万借りて(月の元金返済金額は9万円)、貸主A、貸主B、貸主Cから借りていた100万円を返してしまいます。
そうすると残った借金は貸主Dからの300万円で、毎月の返済は元金9万円プラス利息となり、3社から借りていたときより少なくとも元金は少なくなります。
利息についてはそれまでの利息とまとめた際の利息を具体的に比較する必要があります(以下で解説します)。
借金をまとめる手段
他社の借金をまとめる借入は一般的に「おまとめローン」などと呼ばれ、銀行などの金融機関や金融機関の系列の貸金業者や系列外の貸金業者でも行っています。
そのようなおまとめローンを使わなくても借金額以上に利用できる銀行のカードローンやビジネスローンを利用する方法もあります。
借金をひとつにまとめることで安心できること
借入残高や返済金額がはっきりする
複数の貸金業者などから借金をしていると、全部でいくら借りていて毎月いくら返しているのかわかりにくくなります。
金利もそれぞれ違うとなれば、さらに全体でどれくらい利息を払っているのか把握することが困難です。
一方借入先が1社で借金も1つであるため、いくら借りていて金利がいくらで、毎月元金利息併せていくら払っているかは容易にわかります。
この点により見通しが立てやすいので、借りる側としては大きな安心感があります。
金利が低くなる可能性がある
一般的におまとめローンを取り扱っているのは、銀行などの金融機関が多くなっています。
銀行からのローン借入金利は消費者金融などの貸金業者よりは低いことが多く、同じ借入額に対しての金利は少なくできる可能性があります。
しかしおまとめローンの中には貸金業者などの金利とそう変わらない貸付もあるので、実際の金利を具体的に比較することが重要です。
返済期間を長期にできる可能性がある
おまとめローンは一つの金融機関が行い返済計画を立てやすいため、返済と借入を繰り返しているような貸金業者からの借金と比べ返済期間を長期にしてくれる可能性があります。
ただしこれは借入を増やさないことが前提ですので、判断を慎重に行う必要があります。
借金をひとつにまとめることのリスク
借金自体が減るわけでなく、支払総額は増えることがある
債務整理と異なり、借金額のカットはできません。
あくまで何本もある借金を1本にまとめるに過ぎません。
従って1本化することで返済が長期化し、利息を含めた支払総額は増えることがあります。
一か所からの借入金額が大きくなり、融資通りにくい
融資をする側からすれば、100万円の融資を判断するより300万円の融資を判断する方が慎重になるのは当然です。
加えてあちこちから借金をしている借主に対し融資をするとなれば、さらに慎重に判断せざるを得ません。
融資条件が厳しくなる
上記の理由で融資につき慎重にならざるを得ない以上、融資が可となっても条件を厳しくすることが多くなっています。
例えば自宅といった所有不動産に担保を付けることを条件としたり、結局1本化する前の貸金業者の金利と同じくらいの金利を条件としたりします。
実際の融資条件を見極めることも、とても大事です。
まとめた後にまた他社から借りてしまう
せっかく1本にまとめても、その後に一旦完済した先から借りてしまうことがよくあります。
そうすると借金をまとめたメリットがなくなってしまい、さらに借入額が増えてもっと苦しくなることになります。
借金をまとめることの最大のリスクは、この点にあります。
まとめるローンを実行する先も、カードの解約を確認するなどあの手この手を尽くしてこの事態を避ける努力をしていますが、第三者にとれる方法には限界があります。
最終的には借主の意思の問題となります。
1本化した後には追加の借金を絶対しないとの強い覚悟が、借金をひとつにまとめる解決策には不可欠です。
まとめ
借金をひとつにまとめることには、安心できる点もあればリスクもあります。
とりわけ1本化後に追加融資を受けてしまうリスクは大きく、1本化を台無しにしてしまいます。
相談者の状況と傾向を正確に把握して最適な解決方法を提案するには、当事務所のように数多くの借金問題の解決経験が必要です。