過払金請求は必ず弁護士を通して行うべき理由
貸金業者への過去の払い過ぎた利息を返してもらう手続きが過払金請求ですが、実際は専門家である弁護士や司法書士に依頼しているケースがほとんどです。
借主自身では行えないのか、弁護士と司法書士では何が違うのでしょうか。
借主自身で行うには、相手方である貸金業者とは交渉力と知識の差が非常にあります。
司法書士は専門家ですが、取り扱える金額・裁判上の手続きに制限があります
ここでは過払金請求について弁護士を通して行うべき理由について、わかりやすく解説します。
目次
自分で行う場合との比較
督促が止まらない
弁護士や司法書士による受任通知が届かなければ、相手方の貸金業者は督促などの取立て行為をストップする義務はありません。
現在も取引が継続している場合、このデメリットは大きいでしょう。
知識の差が大きい
過払金請求を行うためには、過去の取引履歴より利息制限法上の上限金利に引き直して計算し直すことが必要です。
ネットには簡単に計算できるツールが出回っているようですが、目安にはなっても実際の過払金請求には深い法律知識が必要です。
最終取引日がいつか、取引の分断がなかったかによっても過払金請求金額は大きく変わります。
時効が成立していないかの判断はさらに高度な法律知識が必要となり、とても素人ができる類のものではありません。
過払い金に関する知識の差は、非常に大きいと言えます。
交渉力の差が大きい
相手方である貸金業者は借金のプロです。
様々な交渉手段を講じて、過払金請求を否定するか最小の金額で済まそうとしてきます。
また、過払い金の計算のもとになる過去の取引履歴の開示についても、なんだかんだといって素直に応じなかったり、何事も無いように引き延ばしを行ったりするケースもあります。
さらに、相手が弁護士等の専門家でないとわかれば、本来であればもっと過払い金があったのに、迅速な解決をちらつかせ大幅に低い金額で和解しようとすることもあります。
弁護士相手であれば訴訟を起こされるリスクを考え提示される金額も高くなりますが、本人相手だと訴訟のリスクも低いと考え低い金額を提示してくることが多くなっています。
相手は百戦錬磨の貸金業者ですので、交渉力の差も歴然としています。
司法書士に依頼する場合との比較
司法書士は本来法務局に提出する書類の作成・代理(特に登記手続き)の専門家ですが、一定の条件のもとに過払金請求などの業務を行うことが可能です。
140万円以上の請求・交渉は弁護士しかできない
司法書士は1社あたりの過払金の額が140万円を超えると、交渉ができず過払金請求もできません。
当初過払い金の額がわからずに司法書士に依頼した後に140万円を超えることが判明すると、弁護士に依頼し直すか自分で交渉しなくてはならず、二度手間となります。
過払金の金額は過去の取引履歴を見てみないと、おおよその金額さえ推測することが困難です。
実際非常に多くのケースで取引履歴をもたら予想を大きく超えていた例が多々あります。
弁護士にはそのような制限は一切ありませんので、最初から弁護士に依頼しておけば二度手間になるおそれがありません。
地方裁判所以上の上級審でも対応可能なのは弁護士だけ
司法書士が訴訟で代理できるのは、簡易裁判所だけになります。
貸金業者と過払い金請求を行うなかで交渉がまとまらなければ、裁判所に訴訟を提起して解決します。
140万円以下の請求であれば司法書士が代理人となって、簡易裁判所に過払金返還訴訟を提起することが可能です。
しかし過払い金請求が140万円を超えている場合は地方裁判所に訴訟を提起しなければならず、司法書士では代理人になれません。
地方裁判所への提出書類作成の補助は可能ですが、訴訟代理権はありません。
また140万円以下の請求であって簡易裁判所へ訴訟を提起しても、判決に不服として請求人が控訴したり相手方が控訴したりすると地方裁判所で審理されることになります。
やはり司法書士では対応ができなくなるのです。
一方弁護士は地方裁判所以上の上級審でも当然代理人として訴訟を進めることが可能です。
最初から過払金請求額が140万円を超えている場合はもとより、140万円以下であっても控訴により地方裁判所以上の審理となっても、そのまま代理人として業務を行えるのです。
司法書士だと地方裁判所へ進んだ時点で、弁護士に依頼し直すか自分で訴訟に対応するかしなくてはならなくなります。
まとめ
過払金の返還請求は自分で行うことも不可能ではありませんが、高度な法律知識と交渉力が必要なため弁護士などの専門家に依頼することは通常です。
司法書士に依頼することも可能ですが、請求金額が1社あたり140万円以内であること、訴訟代理が行えるのは簡易裁判所に限られるなどの制限があります。
弁護士事務所である当事務所では過払金請求に対し何ら制限はなく、万全の態勢で最大限の過払金獲得が可能です。