ストーカー・つきまとい行為再犯の諸問題|刑罰と再犯防止対策

再犯とは、前になんらかの罪を犯し前科が付いた人が、また罪を犯したことをいいます。ストーカー・つきまとい行為再犯の場合には、以前ストーカー等の行為をし、またストーカー等の行為をすることをストーカーの再犯ととらえる向きが多いです。

ストーカーはストーカー規制法違反により前科が付く場合もあれば、それ以外の罪、例えば住居侵入罪や傷害罪等で前科が付く場合もあります。

この記事では、前にストーカー行為の結果、何らかの罪で前科が付き、今回はストーカー等の行為で逮捕されることをストーカー等の再犯として扱い、再犯による刑罰と再犯防止対策について解説します。

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ストーカー規制法に違反する行為の再犯について

ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下、ストーカー規制法といいます。)に違反する行為をする人物をストーカーと呼びます。ストーカー行為には大きく分けて2つの段階があります。

  • ストーカー規制法に違反し、警告をうける
  • 都道府県公安員会による禁止命令が出される

ストーカー規制法に違反する行為をすると警察署長等から警告を受けることがありますが、警告に従わずに同じ行為を繰り返すと公安委員会から禁止命令が出される場合があります。そもそも警告に従いストーカー行為をやめられなかった禁止命令該当者の再犯リスクが高いです。

ストーカーへの措置等については以下の記事をご参照ください。

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備考 再犯の定義について

刑法第56条に再犯とはどのようなものか規定されています。

刑法第56条 懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。

引用:e-GOV法令検索

これによると、刑法上の再犯の要件は以下3つです。

  • 懲役に処せられた者
  • 刑の執行を終わった日または刑の執行の免除を得た日から5年以内であること
  • 更に罪を犯した

一方、犯罪白書では、再犯とは、刑法犯により検挙された者のうち、前に道路交通法違反を除く犯罪により検挙されたことがあり、再び検挙された者とされています。

この記事は、前科(罰金を含む)がある人が再び犯行をしてしまった場合、どう対応するのかを伝える目的で執筆しています。そのため、記事内での再犯の定義を「以前罰金を含む何らかの罪で検挙されたことがあり再び検挙された者」とします。

刑法での再犯の定義(懲役に処せられた者が更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するとき、再犯とする)とは意味が異なる点をご了承ください。

再犯者に対する刑の加重(刑法第57条)

刑法では再犯者に対しては刑を加重できると規定しています。

刑法第57条 再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。

引用:e-GOV法令検索

再犯加重は、最低は法定刑のままで、最高は法定刑の2倍以下とすると規定されています。

ストーカー規制法違反の罪は1年以下の懲役が最高限のため、再犯は2年以下の懲役の範囲内で刑罰を科せます。

公安委員会より「禁止命令」が出されている場合には、再犯は4年以下の懲役の範囲内で刑罰を科せます。

ストーカー規制法第18条 ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

同法第19条 禁止命令(第5条第1項第1号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。

引用:e-GOV法令検索

同法第5条第1項第1号 都道府県公安員会(以下「公安委員会」という。)は、第3条の規定に違反する行為があった場合において、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、その相手方の申出により、又は職権で、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるとことにより、次に掲げる事項を命ずることができる。

1 更に反復して当該行為をしてはならないこと。

引用:e-GOV法令検索

ストーカー再犯の罰則

ストーカー規制法違反の罰則は2通りです。

  • 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 公安委員会より「禁止命令」が出されている場合には2年以下の懲役または200万円以下の罰金

ストーカー再犯の罰則は2年以下の懲役、禁止命令が出されている場合には4年以下の懲役となっていますが、実際には警告の段階でやめられずに、逮捕されることが多いです。

ストーカー再犯で在宅事件になる?

ポイント ストーカー行為に対しては禁止命令が出され、在宅事件になる可能性がありますが、ストーカー行為が悪質な場合などでは在宅事件にならない可能性があります。

困っている人
困っている人
ストーカー再犯で在宅事件になる見込みはありますか?
ストーカー行為が悪質と判断されると在宅事件になりません。同一被害者へのストーカー行為再犯の場合には在宅事件にならない可能性が高いです。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

ストーカー再犯の場合には身柄を解放するとすぐに被害者の元に行く可能性が高いため、逮捕の必要性があると判断される場合が多いです。

ストーカー再犯で起訴される?

ポイント 被害者との間で示談が成立した場合には不起訴になる可能性があります。

困っている人
困っている人
ストーカー再犯だとやはり起訴されますか?
起訴される可能性はあります。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

前科がストーカー行為と全く無関係の場合には、ストーカー再犯でも被害者との間で示談が成立する可能性があります。その場合には不起訴で終了する可能性があります。

前科が同一被害者に対するストーカー行為によるものだった場合にはストーカー再犯で示談が成立する可能性は低く、その場合起訴される可能性が高いです。

ストーカー再犯で実刑になる?

ポイント 被害者との間で示談が成立した場合には実刑を回避できる可能性があります。

困っている人
困っている人
ストーカー再犯で実刑になりますか?
実刑になる可能性があります。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

前科がストーカー行為と全く無関係の場合には、ストーカー再犯でも被害者との間で示談が成立する可能性があります。その場合には実刑が回避できる可能性があります。

前科が同一被害者に対するストーカー行為によるものだった場合にはストーカー再犯で示談が成立する可能性は低く、その場合実刑になる可能性が高いです。

ストーカー再犯で執行猶予は得られる?

ポイント 被害者との間で示談が成立した場合には執行猶予が得られる可能性があります。

困っている人
困っている人
ストーカー再犯で執行猶予は得られますか?
得られる可能性もあります。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

前科がストーカー行為と全く無関係の場合には、ストーカー再犯でも被害者との間で示談が成立する可能性があります。その場合には執行猶予が得られる可能性があります。

前科が同一被害者に対するストーカー行為によるものだった場合にはストーカー再犯で示談が成立する可能性は低く、その場合執行猶予が得られない可能性が高いです。

ストーカー再犯で懲役刑になる?

ポイント 被害者の処罰感情が大きい、再犯の可能性が高い等の場合には懲役刑になる可能性があります。

困っている人
困っている人
ストーカー再犯で懲役刑になりますか?
懲役刑になる可能性もあります。
寺垣弁護士
寺垣弁護士

前科が同一被害者に対するストーカー行為によるものだった場合にはストーカー再犯で示談が成立する可能性は低く、その場合懲役刑になる可能性が高いです。

ストーカーの再犯を防止するには

ポイント ストーカー行為を繰り返す犯罪者には専門家による治療が必要です。

ストーカー行為で警告を受けてもやめられず禁止命令が出された、前科も同一被害者に対するストーカー行為が原因だった等の場合には、服役を終えてもまたストーカー行為を繰り返す可能性が高いです。

専門家によるカウンセリングおよび治療

ストーカー行為がやめられない場合には刑罰による抑止力にはあまり期待ができません。

専門家によるカウンセリングや治療も必要です。

加害者の妄想を解く

ストーカー行為をする加害者は被害者が自分を拒絶するはずがないと思っていたり、自分からの連絡やプレゼントを相手が喜ぶと思っていたりすることがあります。これらの妄想を解くことがストーカー行為をやめる一つのカギとなります。

被害者への執着心を断ち切る

ストーカー行為をする加害者は被害者に対する執着心が強いため、「この人でなければならない」という執着心がどこから来ているのかを紐解く必要があります。カウンセリングをすることで執着心の原因がわかり、相手に執着する必要がないことに気が付くようになります。

再犯防止プログラムを受講

加害者は自分の行為が相手に与える影響がわからなかったり、ストーカー行為をやめたいのにやめられなかったり、他者を尊重する意識が低かったり等により、同様のトラブルを犯してしまいがちです。次の交際相手とも同じようなトラブルを犯さないために、自分を客観的に判断し、人格を再形成できるような心理教育プログラムの受講も再犯防止の役に立ちます。

ストレスやフラストレーションの結果他人を攻撃対象にしてしまう人も、再犯防止プログラムの受講により、ストレスやフラストレーションの上手な発散方法を学べます。

家族の協力を得る

ストーカー行為をする加害者は家族との関わりが希薄であることも多いです。幼少期に家族から愛情を受けられなかった、あるいは虐待を受けていたことが影響している人もいます。家族関係を見直し、健康的な人間関係の構築が再犯防止になることもあり、家族の協力が不可欠です。

ストーカー再犯の刑事弁護の方針とサポート内容

ポイント ストーカー再犯は再犯防止対策を講じ、被害者と示談することが重要です。

ストーカー再犯の刑事弁護は、以下3つがポイントです。

  • 再犯防止対策を講じ、今後二度とストーカー行為をやらないこと
  • 被害者と示談すること
  • その結果不起訴を獲得すること

それぞれ解説します。

再犯防止対策を講じる

今後二度とストーカー行為をやらないことは、被害者との間で示談を成立させるために最も重要なことです。

加害者は自分の行為がストーカー行為であることに気が付いていないことがあります。加害者が自分で自分の行為を客観視し、ストーカー行為をやめることは困難です。弁護士に依頼し、再犯防止策を講じるサポートをしてもらうことが重要です。

加害者を治療・カウンセリングする専門医・精神科医等への受診を勧め、家族の監護下で生活する等のアドバイスをします。

被害者と示談をする

被害者は、加害者のストーカー行為に怯えて生活しています。今後二度とストーカー行為等をしないことを約束してもらえるのであれば示談に応じても良いと考えてくれる方もいます。

被害者の安全・安心のため、被害者が引越しを望む場合には、示談金とは別途引越し費用の一部負担も検討する場合があります。

不起訴を獲得する

再犯防止対策をとり、被害者との間で示談が成立した場合にはストーカー再犯でも不起訴を獲得できる可能性があります。

ストーカー問題を弁護士に依頼した場合のサポート内容については以下の記事をご参照ください。

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まとめ

ストーカー再犯は加害者自身による気づき、ストーカー行為をする自分を客観視すること、ストーカー行為をした当時の心の動きを振り返ることなどで、被害者へのこだわりを捨て、再犯を防止できるようになる可能性があります。

ストーカー再犯で逮捕された場合には早期に弁護士に依頼し、問題の解決に向けて取り組むためのアドバイスをもらいながら刑事事件の弁護活動をしてもらうことをお勧めします。

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