示談できない場合はどうする?対処法について解説

刑事事件で有利な結果をもたらしてくれるのが示談です。

しかし、すべての事件において示談できるというわけではありません。

今回は、刑事事件において示談を成立させることの意味や示談できない場合の対処法などについて解説してまいります。

佐藤弁護士
佐藤弁護士
被害者がいる事件であれば、示談に応じてもらえるよう交渉を
被害者がいない事件であれば、示談以外の対応をすることで、不起訴や罪の軽減が期待できます。
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示談とは

示談とは、加害者の行為によって発生した民事上の責任について、加害者側と被害者側の話し合いによって、解決する手続をいいます

示談で取り決められる事項を示談条項といいます。

この示談条項で最も大切なのが「示談金」です。もっとも、示談条項はそれだけに限らず、犯罪の種別や犯行の態様などによって様々な条項が設けられることがあります。

そもそも、示談は話し合いによって物事を決めていくものですから、当事者が納得する限り、基本的にはどのような示談条項を設けてもよいのです。

示談を成立させることの意味

示談交渉によってお互いが示談条項につき納得し、合意できた場合は示談書(あるいは合意書)という書面を作成します。

そして、示談書に加害者(又はその代理人)、被害者(又はその代理人)が署名・押印することで示談成立です。

示談を成立させて示談金を支払ったことは、本来、被害弁償を完了させたこと、すなわち、被害者に対する損害賠償義務を履行したこと、という民事上の効果を有するにすぎません。

しかし、刑事事件においては「情状酌量」という言葉があるように、加害者にとって有利な情状として考慮されることがあります。

また、示談の成立により被害者の被害感情が消失もしくは軽減することがあります。

示談を成立させることによってどのような効果が生じるかは、示談条項の内容や事件がどの段階にあるのかで異なります。

まず、警察に発覚していない段階であれば、被害者から警察に被害届や告訴状を提出される可能性がなくなります。

その結果、警察から呼び出しを受ける、警察に逮捕される可能性がなくなるでしょう。

次に、警察に発覚してしまった、検察庁へ事件を送致されたという段階では、被害者が加害者を宥恕(ゆうじょ)し、被害届や告訴を取り下げてくれる可能性があります。

示談条項に被害者からの宥恕や被害届の取り下げの条項が含まれている場合、警察から検察庁へ事件が送致されない(不送致、微罪処分)、起訴猶予による不起訴へとつながる可能性があります。

最後に、検察官に起訴された後に示談が成立した場合でも、量刑が軽くなる(実刑が執行猶予となる、懲役が罰金となるなど)可能性が高いです。

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示談できない場合

以下の場合は示談できません。

犯した罪について「被害者」が存在しない場合

示談は被害者が存在してはじめて可能となるものですから、被害者が存在しない罪については、示談はでません。

以下が被害者の存在する罪です。

  • 盗撮
  • 痴漢
  • 住居侵入罪
  • 建造物侵入罪
  • 強制わいせつ罪
  • 強制性交等罪
  • 殺人罪
  • 脅迫罪
  • 強要罪
  • 暴行罪
  • 傷害罪
  • 傷害致死罪
  • 窃盗罪
  • 強盗罪
  • 詐欺罪
  • 恐喝罪
  • 器物損壊罪

他方で、大麻や覚せい剤などの薬物犯罪をはじめとする社会秩序に対する犯罪については被害者が存在しませんから示談はできません。

被害者と面識がない、被害者から連絡先を教えることを拒否された場合

被害者と面識がなく、被害者の連絡先を知らない場合は示談交渉ができません。

加害者自身が被害者の連絡先を知らない場合は、弁護人に依頼し、弁護人から捜査機関(警察、検察)を通して、被害者の連絡先を教えてもらうという方法が考えられます。

その際、捜査機関は被害者に対して、弁護人に連絡先を教えてよいかどうか確認しますが、このとき被害者が「連絡先を教えたくない」といえば、示談交渉を始めることはできません。

被害者の処罰感情が強い、示談条項について折り合わない場合など

被害者の処罰感情が強い場合は、そもそも連絡先を教えてくれない、示談交渉のテーブルについてくれず、示談交渉ができません。

また、万引きなどの事例については、被害店舗によっては一律で示談には応じないとしていることもあります。

仮に、被害者との示談交渉が可能となった場合でも、被害者の処罰感情が強ければ結局、合意に至らず示談できない、示談条項について折り合わず示談できないこととなる可能性があります。

示談できない場合の対処法

示談できない理由には原因があるはずです。その原因に応じた対処法を取ることが示談成立への近道となります。

時間をおいてみる

犯行から間もない間は、多くの被害者が強い処罰感情を抱いています。被害の記憶が鮮明であり、加害者に対する怒りの感情が収まっていないのですから当然です。

この間に示談交渉を持ちかけると、被害者の処罰感情を強固にしてしまう可能性もあります。

したがって、時間の許す限り、犯行から一定時間をおいて示談交渉を持ちかけてみるのが賢明です。

時間が経てば経つほど、お互いが冷静になって話し合いを行うことが可能となります。

もっとも、身柄事件の場合は、時間的制約がありますから、被害者の態度が軟化するのをいつまでも待つわけにもいきません。

逮捕、勾留された場合は特に、選任された弁護士に対応を任せるべきでしょう。

被害者の意向をくみ取り、示談条項に反映させる

被害者が示談交渉に応じているにもかかわらず示談が成立できない場合は、加害者側が提示した示談条項に、被害者側が納得していない場合が多いです。

その際は、被害者の話に素直に耳を傾け、可能な限り、被害者の意向を示談条項に反映させることが必要です。

示談交渉では、お互いが譲歩できるところは譲歩する態度を示すことが必要です。

そうでなければ話はいつまでも平行線をたどり、結局は示談を成立させることができず、お互いにとってよくない結果を招いてしまいます。

供託、贖罪寄付する

供託は、被害者が示談金の受け取りを明確に拒否している場合などに、法務局に示談金に相当する金額(供託金)を納めることです。

被害者はこの供託金を受け取ることができますので、供託金を納めたということは被害弁償したことと同じ意味となります。

ただし、示談とは異なり被害者の被害感情は残ったままになりますので、示談が成立した場合と同じ効果は期待できません。

もっとも、供託は誰でも、いつでも、自由に行えるというわけではありません。

刑事事件で供託を検討している方は、まず弁護士に相談してみましょう。

なお、供託ができない場合は、弁護士会にお金を納める贖罪寄付を行うことを検討します。

弁護士に依頼する

弁護士であれば、これまで述べてきた問題点をクリアしつつ、示談交渉を進めることが可能です。

確かに、示談交渉については事件の当事者同士の話し合いも不可能ではありません。

しかし、より円滑に、スピーディーに、適式な形式で示談を成立させるためには弁護士の力が必要といえます。

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まとめ

事件によっては、そもそも示談できない事件や被害者の意向で示談の成立が難しい事件があります。

示談できない場合は対処法を考えられますので、被害者の意向をくみ取るのが大事です。

どうしても示談の成立ができない場合は、当事務所へお気軽にお問い合わせください。

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