本件不貞行為は不法行為を成立するものではなく、また法律上保護された権利を侵害する行為があったとはみなされないため請求棄却となった事例

不二夫の兄が、不二夫の元妻であった不二子が愛之助と不貞関係となり、妊娠した上、不二子らが中絶同意書の「胎児の父」欄に無断で不二夫の名前を記入し、不当に中絶手術を受け、さらに不二夫と不二子及び愛之助との間の訴訟において、不二子の父母並びに愛之助の父が虚偽を述べるなどしたことにより、鬱状態となったなどと主張して、不二子と愛之助、不二子の両親、愛之助の父に対して慰謝料の支払いを求めた事案である。

愛之助と不二子の不貞行為は、不二子の配偶者であった不二夫との関係では違法性を有するものであるものの、不二夫の兄という立場に過ぎず、不貞行為等により、不二夫の兄の権利又は法律上保護される利益が侵害されるものとは評価できない。したがって、不二夫の兄が不貞行為等を知り、正義感や不二夫の心情を思いやる気持ちから、不二子と愛之助に対して嫌悪感、不快感を募らせ、それを契機として精神状態に影響が生じたものであるとしても、これを被侵害利益として、直ちに損害賠償を求めることはできないと解するのが相当であり、本件不貞行為等は、不二夫の兄に対する関係で不法行為を構成するものとは認められないとされた。

また、不二子の父母や愛之助の父が、不二夫が不二子及び愛之助に対して提起した慰謝料請求訴訟の中や協議の際に発言等をしたものが、訴訟の当事者ではなく、不二子と不二夫の離婚問題の当事者でもない不二夫の兄の権利又は法律上保護された利益を侵害するものとは評価できず、不二夫の兄に対する関係で不法行為を構成するものとは認められないとされ、不二夫の兄の請求は棄却された。

当事者の情報

不貞期間約半年
請求額500万円
認容額0円
子供人数
婚姻関係破綻の有無

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