不貞行為時に婚姻関係が破綻してはいなかったが、円満の状態ではなかったこと、既に社会的制裁も受けたことを考慮して慰謝料90万円のみを認めた事例

不二子が、不二夫と愛子がふて行為に及んだことにより精神的苦痛を被ったとして愛子に対し慰謝料400万円の支払いを求めた事案である。


不二夫と不二子は婚姻時には不二子は山梨、不二夫は東京に住んで週末のみ一緒に過ごしていたが、長男が誕生した後、東京で同居を開始した。その後、不二子は長男を連れて山梨に戻り、不二夫とは住居を別都市、不二夫が週末に山梨の不二子のもとに赴くようになった。その後不二夫は名古屋、静岡と転勤となりいずれも単身赴任をしていた。愛子とは、インターネット上の掲示板に投稿したスポーツ仲間募集に不二夫が書き込みをしたころから、会うようになった。


愛子らは、二人でボウリングに行くなどの交流を開始、親密な様子で外出したり、不二夫宅で長時間を過ごしたりしていることが認められるから、肉体関係を有するに至っていたものと認めるのが相当であるとした。不二子らは、不二夫の浮気を疑うメールを送信するまでは、不二子が単身赴任や子育てについての不二夫に対する不満や苛立ちが高じて離婚に言及するなどの夫婦喧嘩が少なからずあったものの実際に離婚に向けた話し合いが行われて何らの合意に至ったとの事情は認められず、長女も誕生して、家族の交流が保たれ、家計管理方法についても変更がなかったことが認められるから不貞行為が4あった当時すでに婚姻関係が破綻していたとの事実は認められない。愛子は、不二夫が不二子と婚姻関係にあること及び同婚姻関係が破綻に至っていないとを知りながら、不二夫との不貞行為に及んでいたと解すのが合理的であり、不二夫との不貞行為につき故意があったと認めるのが相当である。

しかし、全証拠によっても愛子らの不貞関係が継続した期間は正確に明らかでなく、その間の不貞行為の頻度、回数その他の詳細は明らかとはいえないから、その態様が悪質であったとまでは直ちに評価することができず、婚姻関係が破綻していたとは認められないものの、全く問題のない円満な状態で会ったとも言い難いことは否定できない。

さらに、不二子が愛子に対し、書面やメールの作成を求めて長時間の面談に及んだほか、租ほのかにも複数回の接触を図るなどして強硬な態度で交渉等に臨んでおり、許容範囲を逸脱するものと言わざるを得ず、慰謝料算定において一定程度考慮すべき事情と認められ、愛子も離婚に至っていることが認められ相応の社会的制裁を受けたとも認められ、慰謝料額90万円が相当とされた。

当事者の情報

不貞期間約1年
請求額400万円
認容額90万円
子供人数2人(8歳、2歳)
婚姻関係破綻の有無破綻していない

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