訴訟提起時には不貞行為の損害賠償請求権は時効消滅 しかし不貞行為そのものはあったので慰謝料200万円が認められた事例

不二子が不二夫と愛子の不貞行為人より婚姻関係が破綻し離婚するに至ったと主張して不二夫らに対し連帯して慰謝料等627万円の支払いを求めた事案である。


不二夫と愛子は愛子が勤務していたスナックで知り合い、不二夫は不二子とともに愛子が勤務するスナックを訪れ、不二子に対し愛子のことをスナックで知り合った知人であると紹介した。


不二夫は愛子の自宅玄関ドアの鍵を所持しており、愛子の自宅に自由に出入りできたものと認められ愛子らが不貞関係にあったものと優に推認できるとし、愛子らは当時の年齢(不二夫47歳、愛子61歳)からして性行為はできなかったと反論しているが、年齢による性的能力への影響は個人差が大きく、一般的に生殖能力まであったかどうかはともかくとして、性行為ができないほどの高齢であったとまでいうことはできない。

不二夫から離婚話がされたことはなく、別居後も、引き続き不二子に生活費を渡し続けていたことから、別居時婚姻関係が破綻んしていたとは認められないとしたが、不二子が本件提訴したのが平成28年9月であるところ、不二子はH11年11月ころには愛子らが不貞行為をしていることを認識していたものと認められ、本件訴えを提起した3年前であるH25年9月より前のふて行為に基づく愛子に対する損害賠償請求権は時効により消滅しているとされた。

しかし、H25年9月以前の損害賠償請求権が時効により消滅しているとしても、それまでの不貞行為の事実、更には被告らの不貞関係とそれが原告と被告Y1との婚姻関係の破たんに与えた影響が消えてなくなるわけではなく、H11年ころ愛子らは不貞関係にあったもの優に推認でき、H17頃から現在まで同居しており、不二子らの婚姻関係が破綻した主たる原因は愛子らの不貞関係にあったものと認められた。
本件に現れた一切の事情を考慮すると、不二夫らの不貞行為による不二子の精神的損害に対する慰謝料としては200万円、弁護士費用として20万円が相当であり、愛子との関係では、H25年9月以前の不貞行為に基づく損害賠償請求権は時効により消滅していることから、愛子が負担すべき慰謝料の額は50万円、弁護士費用は5万円が相当であるとされた。

当事者の情報

不貞期間約3年
請求額連帯して627万円
認容額不二夫に対して220万円
愛子に対して不二夫と連帯して55万円
子供人数3人(37歳、34歳、29歳)
婚姻関係破綻の有無別居時、既に破綻していたと認めることはできない。

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