不二子が愛子と不二夫が不貞行為に及んだとして不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
不二子と不二夫は、婚前前からバドミントン競技の混合ダブルスのパートナーとして様々な大会に出場し、婚姻後もペアを組んで大会に出場していた。愛子はバドミントンチームの実業団所属の選手として活動し各大会に日本代表として出場していた。その後不二子と不二夫、愛子は同じ東京都の選手としてあいさつや会話を交わす中となった。
愛子は不二夫のプレーを気に入り、一度ダブルスを組んでみたいと思っていたところ、その話を聞いた不二子から不二夫のレベルアップにつながるまたとないチャンスであると考えられたことから愛子へ不二夫とダブルスを組むことを依頼し、以後、愛子と連絡先を交換して連絡を取り合うようになった。不二夫と愛子は、ダブルスを組むこととなり、練習や飲食をとる機会が増え、多数に及ぶ性行為をはじめ、不二子に内緒で旅行に行ったり、深夜に及ぶ密会等の不貞行為を行うようになった。
愛子と不二夫の不貞行為を行ったことについて争いはなく、不二子は代理人を通して愛子と不二夫は二度と連絡を取り合わないことを約束し、互いの連絡先を削除したが、このわずか3、4日後には再び連絡を取り合うようになっただけではなく再び密会をするようになり性交渉まで及んでいた。
不二夫と愛子の不貞行為の期間は全体でも1年に満たないものであり、期間としては長いとは言えないが、頻度の面では、平均して2週に1度程度に不貞行為を行っており、それ以外にも深夜に会うなどしている点を加えればかなりの頻度になるといえ、不二夫と愛子の互いに不貞関係に対する依存性の高さという意味で悪質性は高いといえる。
不貞行為により、不二子は私生活上も、バドミントン競技の上でも良きパートナーであった不二夫との夫婦関係を破壊され、離婚が成立するのも時間の問題と判断でき、不二子は著しい精神的苦痛のみならず心身に変調をきたし、従前どおりのプレーもできなくなったばかりか、競技を続ける限り、愛子の姿を目にし、不貞関係を思い出すことを余儀なくされていることから慰謝料は220万円、弁護士費用22万円の合計242万円が相当とされた。
当事者の情報
不貞期間 | 約10カ月 |
請求額 | 550万円 |
認容額 | 242万円 |
子供人数 | 1人(10歳) |
婚姻関係破綻の有無 | 破綻していない |