不貞行為が行われた時点では婚姻関係が破綻していたとは認められず慰謝料150万円を認めた事例

不二子が、愛子と不二夫に対し、不二夫らが不貞行為に及んだ上、不二夫が代表を務める2社の取締役であった不二子を不当に退任させて役員報酬の支払いを停止したことにより、精神的苦痛を受け、さらには逸失利益として将来3年分の役員報酬相当額の損害を被ったとして共同不法行為に基づき慰謝料ないし逸失利益の5000万円の支払いを求めた事案である。

不二夫と愛子は、約20年前に知り合ったものの、その後は特に連絡を取り合ったりしていなかったが、愛子の元夫の仕事や愛子の音楽活動に関連して再び関係を持つようになり、愛子がヒーリングをなりわいとするようになり、不二夫はそのサロンに通うようになった。

愛子らはお互いを愛称で呼び合い、一回につき数十分から一時間以上にもわたる電話での会話を多数回行っており、肉体関係にあったことを前提とする会話が行われ、不二子との離婚及び愛子との結婚に向けた会話が行われていたと認められ、不貞行為の事実を認めることができるとし、不貞行為が行われた時点で不二子らの婚姻関係が破綻していたとは認められず、不法行為についてのみ共同不法行為責任を負うとした。

婚姻期間が17年以上に及ぶこと、不二夫は不二子と離婚して愛子と婚姻することまで考えていたこと、不貞行為を原因として別居していること、不二子も不二夫の離婚意思が固いのであればやむを得ないとの思いに至っている他方で、不二子らに実子がおらず、酒席の場ではあるが、不二夫に誰とでも性行為を行ってもよい、何人でも子供を産んでもらってもかまわないという趣旨のことを話したことがあったことより慰謝料額150万円が相当とされた。


なお、不二子の取締役退任に関しては、不二夫は不二子に対して、生涯のビジネスパートナーとして今後もお願いしたいと考えていたと認められるが、離婚が容易に実現できないと知るや不二子を取締役から退任させ、役員報酬を奪ったとまで認めることはできず、また愛子が不二子を排除して愛子が経済的に満足のいく結婚生活ができるよ求めることまでしているとまでは認めがたいため、不法行為は成立しない。

当事者の情報

不貞期間約8か月
請求額連帯して5000万円
認容額連帯して150万円
子供人数1人(養子)
婚姻関係破綻の有無破綻していない

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