不二夫が、不二子は①愛之助及び②愛之助との間で継続的に男女関係を持ちながら不二夫と婚約して挙式行い同居し、①愛之助及び②愛之助はこの間不二子と継続的に男女関係を持ったとして共同不法行為等に基づき連帯して損害賠償を求めるとともに、不二子に対して同居解消後も自宅に私物を残置したなどとして賃料相当損害金の支払いを求めた。また、不二夫母が不二子らに対し挙式のために支出した渡航費用等の賠償と、不二子に対し、欺いて義親子として接触したことにかかる慰謝料の支払いを求めた事案である。
不二子と②愛之助は、職場の同僚で、仕事を通じて親しくなり、年に複数回旅行やドライブをするようになった。不二子の異動後、仕事上の関わりはなくなったが、親しい関係は続いており自宅を行き来するようになった。
不二子と①愛之助は、仕事関係で知り合い、仕事上、宿泊をともなう地方出張をすることもあり、仕事以外でもしばしば食事をするようになった。
不二夫と不二子は結婚相談所を通じて知り合い、月に1度食事をする交際をするようになり、その1年後婚約した。その後互いを両親に紹介し合い、新居の内覧等をし、ハワイで挙式、不二夫はそれまで住んでいたマンションを売却し、新居を購入し、同居、入籍日を検討しており、通常の婚姻に至る過程を経ていたことは明らかであり、内縁関係が成立していたと認められた。
不二子は、①愛之助及び②愛之助とそれぞれ男女関係を有していたとされたが、婚約期間中に不二夫以外の者と男女関係を持ち得るつもりで婚約し、実際に婚約期間中にほかの男性と男女関係をもったとしても不法行為法上の損害賠償責任を問うことはできないとした。
しかし、不二子は真実は貞操義務を守る意思がないのに、内縁関係に入ったものであるところ、真実を知っていれば不二夫を不二子と内縁関係に入ることはなく、挙式や新居購入のための経済的出損をし、他の女性との交際や結婚の機会を一定期間失ったというべきで、内縁関係を成立させたことへの不法行為は成立したと解された。その損害額は挙式費用、マンション売却及び新居購入関係費用、不二子と愛之助らに関する調査報告書作成費用の計630万9315円、慰謝料300万円、弁護士費用93万円の合計1023万9315円が相当とされた。
①愛之助及び②愛之助については、不二子の婚約及び内縁関係を認識していた事実は認められず、不二子の内縁関係の前後においてその関係や生活スタイル等を変えることがなかったということであり、過失があるとまでは認められず、共同不法行為責任は負わないとされた。
また、不二夫母の不二子に対する請求については、不二夫らの内縁関係成立に関し不二子が不二夫母に何らかの義務を負うものではなく、また、不二子の行為に関し、不二夫母の被侵害利益わ判然としないことから不法行為が成立するとは認められないとされた。
当事者の情報
不貞期間 | ①②約1年半 |
請求額 | 5294万9496円 |
認容額 | 1023万9315円 |
子供人数 | |
婚姻関係破綻の有無 |