証言の信用性が担保されず、不貞関係を認定することができなかった事例

本件は、愛之助が不二夫の妻であった不二子と不貞行為を行い不二夫と不二子の婚姻関係を破綻させたとして、不二夫が愛之助に対し慰謝料400万円の支払いを請求した事案です。なお、不二夫は当初不二子を共同被告としていましたが、後に同人に対する訴えは取り下げています。


不二子は、特別養護老人ホームに入社し、そこに勤務していた愛之助と知り合いました。愛之助は、後に老人ホームを退職して、接骨院を開業しています。


不二子と愛之助の不貞関係について、直接証拠となるのは不二子の供述(証言及び陳述書)であり、不二子は不二夫との婚姻中に愛之助と不貞関係を持ったことを一貫して認めています。しかし、不二子の証言は、愛之助と不貞関係を持った日時や場所等につき具体性が乏しく、愛之助において反証するのは困難であり、また、不二子の証言自体の合理性等は措くとしても、不二子と愛之助のメールのやりとりなど証言内容を裏付ける客観的な証拠は一切証拠として提出されませんでした。不二夫は、愛之助が不貞の事実を認めたとも主張しましたが、愛之助はこれを否定しており、この点についての証拠も提出されませんでした。


もっとも、愛之助の供述にも釈然としない点がないわけではなく、また、不二子と愛之助の間に全く不貞関係がないのであれば、不二子はなぜ不貞関係を認める証言をするのか、動機の理解に苦しむところでした。


とはいえ、不二子と愛之助の不貞関係の立証責任は不二夫にあり、愛之助の供述等に多少の疑義があるとしても、それ以前に不二子の証言の信用性が担保されていないから、不二子と愛之助の不貞関係を認定することはできないと判断されています。

当事者の情報

不貞期間不明
請求額400万円
認容額0円
子供人数2人(17歳、14歳)
婚姻関係破綻の有無不明

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