同居していたものの、内縁関係が成立していたとは認められず、請求を棄却された事例

不二子は、愛子と不二夫が性交渉に及んだとされる日までに、愛子と不二夫が内縁関係となっていたと主張し、愛子に対し220万円(慰謝料200万円と弁護士費用20万円)の支払を請求した事案です。


不二子と不二夫は、交際開始から約2年後から同居を開始しました。しかし、当時同居していたアパートの賃貸借契約において不二子が婚約者とされており内縁の妻とはされていないこと、不二夫と不二子がそれぞれ自らの生活費を支出しており相互の扶助を果たしているとは認められないこと、不二子が不二夫を内縁の夫であると申告することなく生活保護の受給申請をしていること、また、内縁関係の成立に当たって、不二子と不二夫の親族間でのあいさつなどがされたという事情も見受けられないなど、事実上の婚姻関係にあれば当然にされるべきことがされていない以上、不二子と不二夫との間に内縁関係が成立していたとは認められないとされました。

また、不二子も、不二子と愛子との間の電話のやり取りにおいて、不二夫が当時交際相手であったと受け取れる趣旨の発言をしています。さらに、証人不二夫の供述からも、不二夫が婚約相手と同居していくとの認識を超えて、内縁関係を成立させる意思を有していたとは認められませんでした。


愛子は、不二子が同棲していたことや不二子が愛子との間の子を妊娠していたことを知っていたものの、愛子は、不二子からアパートから出たことを伝えられ、不二子と愛子との間の同居生活が解消されたことを認識していたという事情もあることに照らせば、愛子が、不二子と不二夫との間で内縁関係が存在していたことについて知っていたとは認定できないとされました。


また、不二子は、愛子が、不二夫との間で性交渉を行ったと主張し、不二夫はこれに沿う供述をし、不二夫が作成した誓約書(愛子と肉体関係をもったという内容)も提出されましたが、証人不二夫の証言は、不自然なところがあるし、具体性や迫真性は認められないとされ、さらに、愛子との性交渉に及んだことを裏付ける証拠はなく、また、不二夫の陳述書と供述の内容には変更があり、その変更に合理的な理由があるとは認められないことに照らすと、不二夫の証言、陳述書及び誓約書の記載は採用することはできないとされました。


裁判所は、愛子が不法行為を行ったとは認められないとして、不二子の請求を棄却しました。

当事者の情報

不貞期間不明
請求額220万円
認容額0円
子供人数2人(4歳、2歳)
婚姻関係破綻の有無内縁関係が成立していたと認めるには足りない

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