約9年に渡る不貞行為が認められ、慰謝料が250万円となった事例

本件は、不二子が、愛子が不二子と婚姻関係にあった亡不二夫と不貞関係を継続し、これによって不二夫との婚姻関係が破綻したと主張して、愛子に対し、慰謝料1000万円の支払を求めた事案です。

不二子と不二夫は、昭和44年に婚姻後、4人の子をもうけ、東京都内の自宅で同居していました。不二夫は、株式会社Aの株式の2分の1を所有し、同社の代表取締役でしたが、平成22年頃に退任し、以後同社の会長と呼ばれる地位にありました。


愛子は、遅くとも平成18年頃までには、不二夫と知り合い、しばしば会社の本店所在地にある事務所建物2階に寝泊まりしていた不二夫を訪れ夜を共にし、不二夫と韓国、ハワイ及び南米を旅行し、同じ部屋に宿泊していました。

また、愛子は、不二夫が入院した際、病院に対して不二夫の妻と称し、以後、継続的に不二夫を介護しており、愛子は、本訴提起後には1000万円という多額の金員を不二夫から受け取ったことが認められています。


愛子は、不二夫と男女関係にあることを否定し、外国人の実習生をA社に呼び寄せる担当者として入社し、従業員として勤務しており、不二夫が脳腫瘍に罹患し、手術を受けた後は、社長の要請で不二夫の介護業務に従事していたことなどを供述する。

しかしながら、愛子は、A社での勤務時間は決まっておらず、事務机も与えられていなかったとも供述しており、愛子と会社との間に雇用契約の実態があったとは認め難く、また、仮に、愛子が、会社の一従業員でしかなったとするならば、社長から会社の会長である不二夫の介護を要請されるなどということは不自然不合理であって通常は考えられないことであるし、愛子がそれを受け入れることも不自然であり愛子の上記供述は、到底信用できないとされました。


以上によれば、愛子は、不二子と婚姻関係にある不二夫との間で、遅くとも平成18年頃以降、肉体関係を伴う男女関係にあり、継続的に不貞行為をしていたというべきであって、このことは、不二子に対する不法行為になるというべきであると判断されています。


愛子と不二夫が不貞行為をした時点において、不二子と不二夫の婚姻関係は既に破綻していたかについては、不二子と不二夫の婚姻関係が既に破綻していたことを認めるに足りる証拠はありませんでした。


愛子が不二夫と知り合い、交際を開始した頃から、不二夫は、本件建物に泊まり込み、死亡するまで、ほとんど自宅に戻らなくなったというものであるから、愛子の不貞行為によって、不二子と不二夫の婚姻関係が破綻したということができ、愛子と不二夫が不貞行為を行っていた期間、不二子と不二夫の婚姻生活の期間及び状況、破綻に至る経緯など、一切の事情を考慮すると、愛子の不貞行為による慰謝料は、250万円が相当であるとの判決が出ました。

当事者の情報

不貞期間約9年
請求額1000万円
認容額250万円
子供人数4人(44歳、43歳、41歳、36歳)
婚姻関係破綻の有無婚姻関係が既に破綻していたことを認めるに足りる証拠はない

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