既婚者であることを認識できていなかったことが認められ、慰謝料の支払いが求められなかった事例

本件は、不二夫の配偶者である不二子が、愛子が不二夫と不貞行為に及んでいたと主張して、愛子に対し、慰謝料300万円及び弁護士費用30万円の合計330万円の支払を求めた事案です。


愛子は、不二夫が開いたパーティーの二次会に参加し、愛子と不二夫はその場において初めて顔を合わせました。愛子は、不二夫からSNSを通じて連絡を受けたことを契機に不二夫と連絡を取り合うようになり、その後、両者は交際し肉体関係を持つようになりました。多い時には週に1回程度、少ない時には2又は3週間に1回程度会いながら、継続的に肉体関係を持っていました。


しかし、愛子については、不二夫と肉体関係を持っていた当時、不二夫が既婚者であることを認識していたとは認められず、愛子が、不二夫と肉体関係を持つことによって、不二夫の配偶者の権利を侵害する認識(故意)を有していたとは認められませんでした。


また、愛子は、飲み会で知り合った不二夫から誘われる形で同人と交際するようになったのであって、もともと不二夫に配偶者がいるのか否か気になりにくい立場にあったと考えられることに加え、交際中には、不二夫と共に大勢の男女が集まる飲み会に度々参加していたほか、不二夫がかつてホストであったことも知っていたことから、不二夫の生活が落ち着いたものではないと認識していたと認められ、不二夫に配偶者がいることに思いが至らなかったとしてもやむを得なかったと考えられることなどに照らすと、愛子において、結果的に不二夫の配偶者の権利を侵害するに至った点につき非難されるべき落ち度(過失)があったとまでは認め難いというべきであると判断されています。


不二子は、本件二次会の状況などから、愛子が、不二夫が既婚者であることを認識できなかったはずがないと主張しましたが、不二夫が結婚指輪を身に着けていたとする点についても、そうした事実を客観的に裏付ける証拠は存在しないなど、この主張を採用することはできないとされています。


不二子は、愛子が不二夫宅を訪れたことがなかった点などが不自然である旨も主張しましたが、交際の態様は各人によって千差万別であって、不二子が主張するような事情自体が、交際関係につき不貞関係であることを直ちに推認させるものではないと判断され、愛子の故意及び過失が認められないから、愛子に不法行為が成立することはないとう判決が下りました。

当事者の情報

不貞期間不法行為が成立することはない
請求額330万円(うち慰謝料300万円)
認容額0
子供人数不明
婚姻関係破綻の有無不明

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